皆さんこんにちは。最近では Sada Baby や Teejayx6 など、デトロイトから勢いのある若手が増えてきている印象ですが、今回はここ数ヶ月で爆発的に人気を博し始めている、デトロイトの暴れん坊 42 Dugg についての記事です。
2020年の3月に3枚目のミックステープ『Young & Turnt, Vol. 2』をリリースしたばかりだったり、Lil Baby のアルバム『My Turn』に参加したりと、大波に乗っている彼を是非この機会にお見知り置き下さい。
42 Dugg ってどんなラッパー?
42 Dugg (フォートゥー・ドゥグ) は、デトロイト出身の26歳。なんと彼は、15歳の頃から22歳になるまでの約6年間を獄中で過ごしました。小さな部屋の中では、手持ち無沙汰を極めていたようで、暇をつぶすためにラップの歌詞を書き始めたことが、彼のキャリアの始まりです。
晴れて自由の身となった2017年頃から本格的に楽曲制作に取りかかり始め、ストリートでの体験を鮮明にラップするスタイルは、徐々に世間の注目を集めていきました。
彼の努力がストリートからの支持を得始めたところで、彼の楽曲は Lil Baby の目にとまりました。それをきっかけに Lil Baby の 4PF (4 Pockets Full) と Yo Gotti の CMG との契約に成功しました。
彼の特徴は、いかにもやんちゃそうな声で勢いよくラップするスタイルや、Kodak Black などを彷彿とさせるねっとりとしたラップです。ほとんど全曲で聞くことのできるトンビの泣き声のような口笛のアドリブにも注目です。(これをアドリブと分類するか、効果音と分類するかの問題はいったん置いておきます。)
1st ミックステープ 『11241 Wayburn』
42 Dugg は、2018年に初めてミックステープ『11241 Wayburn』をリリースしました。デトロイトのローカルクルー Team Eastside より、2018年に射殺されてしまった Team Eastside Snoop が参加していたりと、デトロイトのG好きな方にはおすすめのミクステとなっています。
三曲目に収録されている『Never』という楽曲は、Dugg 自身が選ぶ「最も過小評価されている曲」だそうです。アーティストの自己評価と、世間からの評価には常に多少のズレが生じるようです。
ちなみにアルバムタイトルの『11241 Wayburn』とは彼の生まれた実家の住所です。残念ながら、彼の生まれ育った実家はすでに解体されており、その姿を見ることができません。しかし、土地が売りに出されていますので、彼のことが好きでたまらない方は是非ご購入を検討下さい。(Google Map 上でオレンジの杭に「11241」と記されているのも確認できます。)
2nd ミックステープ『Young and Turnt』
2019年の3月15日に2枚目のミックステープ『Young and Turnt』がリリースされました。4PF と CMG 加入後、初めてリリースされたミックステープということもあり、以前のものとは比べ物にならないほど、参加アーティストが豪華になっています。
所属している二つのレーベルの長である Lil Baby と Yo Gotti はもちろんのこと、地元デトロイトから Tee Grizzley、CMG から Blac Youngsta などが参加しています。プロダクションにも、Tee Grizzley と数多くの楽曲を作成したことでも有名な、デトロイトの Helluva Beats などが参加しています。
中でも注目の楽曲は、所属する CMG のボスである Yo Gotti を迎えた『You Da One』です。噛み付くようなやんちゃなラップをかます 42 Dugg が子だとしたら、落ち着いた口調で淡々とバースを蹴る Yo Gotti は威厳のある父親というところでしょうか。
単に Yo Gotti が一区切りのバースでラップするだけでなく、Tee Grizzley と Lil Yachty の『From the D to the A』を思い出させるような、2人交互にバースを蹴っていく構成になっているところも見所です。 Tee Grizzley もデトロイトなので少しは影響を受けているのかもしれません。
3rd ミックステープ『Young & Turnt, Vol. 2』
2枚目のミクステから約一年のインターバルを経て、2020年の3月に待望の新作『Young & Turnt, Vol. 2』 をリリースしました。2枚目の続編という立ち位置のミクステですが、アルバムタイトルの表記は「and」から「&」へとマイナーチェンジがなされています。
引き続き Lil Baby と Yo Gotti に加え、前作にも参加しており Team Eastside のメンバーである Babyface Ray も参加しています。プロダクションには Helluva Beats はもちろんのこと、808 Mafia のボス Southside が新しく参加しています。4PF に属しているからこそ実現したコラボですね。
今回ご紹介したいのは、7曲目に収録されている『Hard Times』という楽曲です。先行シングルとして、ミクステより一足先にリリースされていたものですが、彼にとっては比較的珍しいメロディアスなフロウで、全体的に希望に満ち溢れたバイブスが特徴的な一曲です。
6年間の獄中生活を経て、一瞬にして人気ラッパーに成り上がった彼だからこそ書くことのできるリリックを、フックの一行目から披露してくれます。
Hard times don’t last
厳しい時期は、そう長く続かないぜ
感染症による影響で暗いムードが漂う私たちにとっても、この一行は最高のメッセージであり、彼の発する一言によって分厚い雲の隙間から希望の光が差し込んでくるような気もします。やはり音楽の存在は私たち人類にとって偉大なものだということに改めて気づかされる、そんな一曲でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はデトロイトのやんちゃ小僧 42 Dugg についての記事でした。デトロイトのラッパーや 4PF、CMG 周辺のラッパーとのコラボもこれから増えてくると予想されますので、彼の名前を見かけたら積極的に聞いてみることをお勧めします。すでに次のミクステが楽しみで仕方ありません。
whoiskosuke