Lil Uzi Vert 『That Way』和訳・解説

本日未明、愛しの Lil Uzi Vert が、『Futsal Shuffle 2020』以来のニューシングル『That Way』をリリースしてくれました。

再生した瞬間にピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらの楽曲はアメリカのボーイズグループである Backstreet Boys の名曲『I Want It That Way』が元ネタとなっています。

今回の楽曲では、メロディアスなフックや Lil Uzi 特有のマシンガンのようなラップなどが見られ、2017年頃に台頭した、いわゆる「オールドウジ」的なカテゴリーに分類される良曲だと思います。

本記事では、そんな彼の新曲『That Way』より、重要なリリック、面白いリリックなどを解説するかたちを取りたいと思います。それでは、まだ聴いていない方も、すでに50回聴いたよって方も、まず初めにこちらをどうぞ。

I want it that way
俺はそうやって生きていきたいんだ

Backstreet Boys による元ネタと同じメロディを4回繰り返すフックから、三分半にわたる Uzi ワールドの幕開けです。この時点ですでにオールドウジ的な雰囲気が漂ってきます。

But I don’t wanna go out bad, wanna go out sad, wanna go out that way
調子が悪い時も、悲しい時も外に出たくない。この道で生きていきたいんだ。

I’m with the winnin’ team, they make sure I’m not in last place
俺は勝ち組。あいつらは、俺が負け組でないことを確信させてくれる。

If I wake up, don’t make no money, that’s a sad day
もし、目覚めて金を稼げなかったら、それは悲しい日だ。

Twenty-five hundred on my shirt what the tag say
シャツに$2500。タグに値段が書いてあるだろ。

You know that I’m winnin’
君が知ってる通り、俺は勝ち組。

My white girl got black card and it got no limit
白人の彼女は、利用制限なしのブラックカードを持ってる。

I’ma grab a Bentley, Mean might go and grab a Wraith (※1)
ベントレーを買いに行く。Mean はロールスロイス・レイスを買いに行く。

I had to snap back into reality and go grab a fitted (※2)
現実に戻って、フィテッドキャップを手に入れなきゃ。

My jeans, yeah, they fitted
俺のジーンズはサイズぴったり。

But Lil Uzi, he is so far from the timid
でも、Lil Uzi は臆病者とはほど遠いよ。

(※1) Mean とは Lil Uzi のマネージャーの名前。彼のマネージャーやボディーガードたちは、複数台のカスタムカーによって移動していることで有名。

(※1) 路上駐車された Lil Uzi クルーの移動用自動車

(※2) Snap Back には「戻る」と「サイズ調整できるキャップ」の二つの意味があり、後半の fitted 「サイズ調整できないキャップ」とかけたワードプレイ。Eminem の代表曲『Lose Yourself』 から引用したラインを、キャップ好きの彼なりにアレンジしている。

(※2) 左 : スナップバックキャップ、右 : フィテッドキャップを被る Lil Uzi Vert

When I’m in DC, make the hoes go-go (※3)
ワシントンDC にいる時、女の子には Go-Go を歌わせる

Yes, I’m slimy like a snail, but I’m no slowpoke (※4)
そう、俺はカタツムリみたいにスライミーだけど、俺はヤドンじゃないぜ

(※3)「Go-Go」とは、音楽ジャンルの一つであり、今年の二月にワシントンD.C. 発祥の音楽として正式認定された。

(※4) Slime とは Young Thug によって作られたスラングであり、「Street Life Intelligence Money is Everything」の頭文字をとった単語 。主に親しい友達や家族のことをさす。Slimy は、Slime を形容詞として変化させた派生語である。カタツムリは動きが遅いことで有名な軟体動物であるが、Lil Uzi は自分が素早くキャリアを積み上げたことから、ポケモンのヤドンを「動きが遅いのろま」としてメタファー的に利用し、「自分はカタツムリやヤドンのようにのろまな存在ではない」とラップしている。

(※4) ポケモンのキャラクターであるヤドン。英語名は「Slowpoke」

They laugh at me because I’m emo
あいつらは俺がエモラッパーだからって笑うんだ

I killed my girlfriend, that’s why I’m single
恋人を殺したから、俺は独り身だ

Can’t call 911 ’cause I’m in Reno (※5)
Reno にいるから、警察に通報できないよ

(※5) Reno とはネバダに位置する街の名前で、Lil Uzi は、その街の警察をテーマにしたコメディショー 『Reno 911!』について言及している。

(※5) 『Reno 911!』のプロモーションポスター

さいごに

いかがでしたでしょうか。先日 Lil Uzi がインスタグラムのライブにおいて「Eternal Atake は二週間以内にリリースされる」と発言したことが話題となりましたが、このタイミングでこの良曲をリリースしたことから、いつもならゼロに近いリリースの信憑性が増してきました。さらなる情報を期待して待つばかりです。

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