アトランタ Zone 6 の新星 Yung Mal って?

みなさんこんにちは。今回はアトランタのソリッドなラッパー Yung Mal についての記事になります。

Yung Mal って誰?となっているそこのあなた、まだ遅くありません。先月にニュープロジェクト『6 Rings』をリリースしかなり上がってきている彼を、これを機にチェックしてみてください。

生まれはニューオーリンズですが、2008年にアトランタの Zone 6 に移り住みました。移住先のアトランタ Zone 6 の大先輩 Gucci Mane 率いるレーベル 1017 Eskimo Records や Alamo Records と契約しています。

Mal は Lil Quill という同郷出身のラッパーと、ヒップホップデュオ Yung Mal & Lil Quill の 1/2 としての活動に重きを置いていましたが、昨年ミックステープ『Iceburg』をリリースしたタイミングからソロでの活動にも力を入れているようです。

左 : Yung Mal  右 : Lil Quill

Lil Quill とともにリリースしたミックステープも良作揃いなので、ぜひ紹介したいのですが、今回は Yung Mal のみに絞って紹介しようと思います。(Lil Quill についてはまた後日)

1st ミックステープ『Iceburg』

『Iceburg』は Yung Mal による初めてのソロミックステープです。デュオ時代に蓄積したスキルとコネクションを最大限に活かし、かなり豪華な良作となっています。

Gucci Mane との楽曲に Zaytoven がプロダクションに参加していたり、Gunna との楽曲に Turbo が参加していたりと、ラッパー客演に呼ぶだけでなく、そのラッパーの周辺人物も積極的に巻き込んでいて、聴いていてかなり楽しいです。

『#’s』

まず初めにご紹介するのは『#’s』という楽曲。読みは『Numbers』で、つまるところのギャングスタ版数え歌です。歌詞の各行に1から順に数詞を折り込んでラップするというもの。

面白いのは、ただ数字を羅列するだけでなく下記のようにギャングスタスラングや、ワードプレイを盛り込んで淡々とラップしていくところです。

I done got rich, I’m still in the six
俺は金持ちになったけど、いまだに Zone 6 にいる。

Yung Mal が活動の拠点としているアトランタのエリア、Zone 6 の「6」

They talkin’ plates, we already ate
飯のことか?俺らはもう食っちまったぜ(大量のマリファナのことか?もう全部吸っちまったぜ)

「8 (eight)」と同じ発音の単語で、「eat」の過去形である「ate」を使ったワードプレイ

Don’t fuck with 12, I’m never gon’ snitch
警察の相手はしないぜ。俺は絶対裏切らない。

「12」は警察を意味するスラング

『Action (feat. Pi’erre Bourne & Lil Gotit)』

ここ数年において若手プロデューサーの頂点に立ち続けている Pi’erre Bourne と、 Mal と同じく Alamo に所属するラッパー Lil Gotit を招いたこちらの楽曲。

Pi’erre Bourne による琴のような音色が盛り込まれた中華ビートがなんとも言えない奇怪さを醸し出しています。そしてこちらの楽曲には、Pi’erre Bourne も自身のビートの上でラップに参加しています。

余談ですが、あちこちに挿入されている Pi’erre Bourne の最新プロデューサータグ「よ〜ぴえ〜」は、こちらの楽曲で初めて使用されました。

2nd ミックステープ『6 Rings』

2020年の3月、彼は2枚目のミックステープ『6 Rings』をリリースしました。

収録曲12曲の全ての楽曲が プロデューサーコレクティブ 808 Mafia の Pyrex Whippa によってプロデュースされています。

少し脱線しますが、Pyrex Whippa について少しだけ。彼は先述の通り 808 Mafia に所属しているプロデューサーです。そのため、Southside や DY Krazy を彷彿とさせる自由自在にハイハットを操った特徴的なビートを製作します。J. Cole 率いるDreamville のプロジェクト『Revenge of the Dreamers lll』にも参加したことから、彼の実力が認められていることが良く分かります。

ちなみに、Pyrex Whippa のプロデューサータグ「Zone 6 n****, Pyrex Whippa (Pyrex!)」は、21 Savage と Offset、Metro Boomin のジョイントアルバムである『Without Warning』に収録されている『Disrespectful』の一節を取ってきたものです。タグの声が 21 と Offset の時点で勝ち確定。

『Cocaine Freestyle』

アルバム1曲目に収録されているこの楽曲。Yung Mal にしては比較的珍しい勢いのある早口ラップを披露しています。タイトル通りフリースタイルなので、フックやブリッジなどは一切なく、イントロ的な役割を果たしています。Pyrex Whippa の変態ハイハットビートにも要注目です。

『100 Missed Calls』

成功を手にし有名になった結果、朝起きた時に100件の不在着信がたまってるよ。という嘆きから始まるこの楽曲。富も名声も手に入れた彼ならではの挑発的なリリックが散りばめられています。

Racks that talk
金が喋りだす

Every account, every stash getting filled
どの口座も金庫も、もうパンパンだよ

Have you ever seen a hundred thou-blue hunid Bill’s (huh?)
お前は10万ドルの札束を見たことがあんのか?

『Shut Up (feat. Lil Keed & Lil Gotit)』

Pyrex Whippa のスローなビートに、ロウキーなラップが怪しげな一曲。風邪のひき始めなのか、Lil Keed の鼻声ラップや、Lil Gotit の極端に言葉数が少ないバースにも注目です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。アトランタのソリッドなラッパー Yung Mal のご紹介でした。イケてる人は聴いている、聴いてる人はイケている、リアルなラッパーでした。それでは、また次回!

今回紹介した Yung Mal による二枚のミックステープはこちらから聴くことができます。↓

whoiskosuke

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