Shawn Brown a.k.a. The Rappin’ Duke – Rappin’ Duke
1984年、スタンドアップコメディアンの Shawn Brown が 『Rappin’ Duke』なる楽曲をリリース。「主に西部劇や戦争映画にてヒーロー役を演じていた俳優 John Wayne(別名 Duke)がラップをする」というコンセプトの元作られた同曲が、その後のカントリー・ラップの礎となります。
Remember Rappin’ Duke? Duh-ha, duh-ha
Rappin’ Duke が「Duh-ha, duh-ha」って歌ってたのを覚えてるか
You never thought that hip-hop would take it this far
当時はヒップホップがこんなに盛り上がるなんて思ってなかっただろ
The Notorious B.I.G. – Juicy
The Notorious B.I.G. も自身の楽曲にて『Rappin’ Duke』について言及しています。
そして、2018年から2019年にかけて爆発的にヒットしたカントリー・トラップ・アンセムが Lil Nas X の『Old Town Road』です。
Lil Nas X – Old Town Road (Remix) [feat. Billy Ray Cyrus]
Nine Inch Nails の『34 Ghosts IV』からサンプリングしたバンジョーの音色と、現行ヒップホップの王道トラップサウンドをミックスした同曲は、一時は Billboard のカントリー・チャートから除外されるものの、最終的にはカントリー・チャートに復活し、HOT 100にて首位を獲得しました。
「初めて(Old Town Road を)聴いたとき、明らかにカントリーだと思った」と語るカントリー界の大御所 Billy Ray Cyrus のリミックスへの参加もあり、同曲は17週連続1位という US Billboard 史上最長の記録を打ち出し、カントリー・トラップというジャンルを世界中に認知させました。
カントリー・トラップのネクストスターたち
Lil Nas X に続いて、カントリー・トラップを自身の楽曲に取り入れるラッパーも増えていきました。
Fly Rich Double – Big Boom
実はこの Fly Rich Double というラッパーは、Lil Nas X が『Old Town Road』をリリースする前からカントリー・トラップのスタイルを取り入れていました。様々なジャンルに挑戦したいと語る Lil Nas X とは異なり、Fly Rich Double はカントリー・トラップを軸に勝負していく意向を示しています。
オハイオのカントリー・グループ Rascal Flatts のグラミー受賞曲『Bless the Broken Road』のメロディラインを引用した同曲がバイラルヒットし、今週末にリリース予定のデビュー EP『DRUG DEALING IS A LOST ART』には Westside Gunn や Future、Lil Baby、Young Thug といった錚々たる顔ぶれを客演に迎えるニューカマー RMR。未だ謎多きカントリー・トラップの新星に要注目です。
DaBaby こと Jonathan Lyndale Kirk はオハイオ州クリーブランド生まれの27歳(91年生まれ)。5歳の頃ノースカロライナ州シャーロットに引っ越します。彼のエピソードとして有名なのが、ウォルマート(スーパーマーケット)での銃殺事件です。2018年、Kirk が二人の子供を連れて買い物をしていた時、銃を持った男が彼のジュエリーを奪おうとしてきたそうです。Kirk は二人の子供を守るためにその男を銃殺しました。この事件は後に正当防衛が認められ、起訴も取り下げられています。
DaBaby のキャリア
2015年に初のミックステープ『Nonfiction』をリリースして以降、立て続けにミックステープをリリースしていた彼は、2019年に Interscope Records からデビューアルバム『Baby on Baby』をリリースします。Offset や Rich Homie Quan、Rich the Kid、Stunna 4 Vegas らを客演に迎えた同アルバムは、Billboard 200 において初週25位をマークしました。年齢的にもキャリア的にも「フレッシュ」とは言い難い彼ですが、ラッパーとしての才能と注目度はフレッシュマンに相応しいのではないでしょうか。
DaBaby の代表曲
『Suge』
『21』
2. Gunna
Gunna とは
Gunna こと Sergio Giavanni Kitchens はジョージア州カレッジパーク出身の26歳(93年生まれ)。一部のファンからは、「Gunna ではなく本名をステージネームにした方が良い」と言われています。母親と4人の兄と共に生活していた彼は、ラッパーになる前は DJ やドラッグディーラーとして活動していました。
Gunna のキャリア
Cam’ron や Outkast を聴いて育ったという彼が音楽制作を始めたのは15歳の頃でした。キャリア初期は「Yung Gunna」として活動しており、2013年に初のミックステープ『Hard Body』をリリースします。その後、彼は共通の友人を通して Young Thug と繋がり、Young Thug のレーベル「Young Stoner Life Records(以下YSL)」と契約を結びます。この出会いがなければ今の Gunna はいないと言っても過言ではありません。そんな彼は、2016年から2018年にかけて YSL からミックステープ『Drip Season』シリーズを3作リリースします。2018年にリリースされた Lil Baby との共作『Drip Harder』も話題となりました。
そして2019年、デビューアルバムとなる『Drip or Drown 2』をリリースします(アルバム名は、Gunna が2017年にリリースした EP『Drip or Drown』から) 。Young Thug、Wheezy、Turbo 監修の同アルバムは、Billboard 200において初週3位をマークし、華々しいデビューを飾りました。
Blueface こと Johnathan Michael Porter は、カリフォルニア州ロサンゼルス出身の22歳(97年生まれ)。学生時代はアメリカンフットボールに打ち込み、2014年の「East Valley League championship」という大会でチームを優勝に導いた経歴を持ちます。
アメフトに打ち込む Blueface
Blueface のキャリア
Blueface Bleedem としてキャリアをスタートさせた彼は、2017年に彼にとって初となるシングル『Dead Locs』をリリースします。そして、その後リリースした楽曲『Thotiana』が爆発的にヒットし、独特な声とオフビートなラップで人気を博した彼は、Cash Money West と契約を結びました。
Blueface の代表曲
『Thotiana』
『Bleed it』
5. Lil Mosey
Lil Mosey とは
Lil Mosey こと Lathan Moses Echols はワシントン州シアトル出身の17歳(02年生まれ)。2019年のフレッシュマン選出者の中では最年少のラッパーです。彼は高校に通っていましたが、音楽活動に専念するため退学したそうです。
Lil Mosey のキャリア
Meek Mill のデビューアルバム『Dreams and Nightmares』から多大な影響を受けたという Lil Mosey は、13歳から14歳の頃にラップを始めました。2016年にラッパーとしてのキャリアを本格的に始動させた彼は、2018年にデビューアルバム『Northsbest』をリリース。同アルバムに収録されている楽曲『Noticed』がバイラルヒットし、Billboard Hot 100にて80位まで登りつめました。
Roddy Ricch こと Rodrick Wayne Moore, Jr はカリフォルニア州コンプトン出身の20歳(98年生まれ)。アトランタで暮らしていた時期もあり、アトランタテイストのラップスタイルを得意とします。
Roddy Ricch のキャリア
Meek Mill や Future、Speaker Knockerz、Young Thug などから影響を受けたという彼は、8歳の頃にラップを始めました。デビューミックステープ『Feed tha Streets』で注目を集めた彼は、続くシングル『Die Young』のヒットにより一躍名を知らしめます。歌心のあるフロウや多彩なビートアプローチを得意とする彼は、フレッシュマン選出をきっかけにますます活躍すること間違いなしでしょう。
Roddy Ricch の代表曲
『Die Young』
Marshmello & Roddy Ricch『Project Dreams』
7. Tierra Whack
Tierra Whack とは
Tierra Whack こと Tierra Helena Whack はペンシルベニア州フィラデルフィア出身の23歳(95年生まれ)。幼い頃に父親と疎遠になった彼女と2人の妹は、母親の手によって育てられました。アートアカデミーに3年間通っていたという彼女は、音楽活動にはもちろん芸術活動にも力を入れており、芸術を学ぶために日本に訪れたこともあるそうです。楽曲や MV、Instagram などからも、彼女の芸術的センスの高さが伺えます。
Tierra Whack のキャリア
10代の頃から「Dizzle Dizz」という名のもと活動していた彼女は、2017年に自身の本名である「Tierra Whack」という名義で活動を始めました。同年彼女はInterscope Records と契約を結び、楽曲を次々とリリースします。そして2018年、彼女は15曲(各曲1分ずつ)収録のアルバム『Whack World』をリリース。各曲にショートムービーを付けたビデオアルバムもリリースし、15分で聴けるアルバムという新鮮さや、独特な世界観を持つムービーが大きな話題を呼びました。音楽面、芸術面共に才能溢れる彼女の今後に期待です。
50 Cent や Rick James、Chief Keef、Nipsey Hussle、Lil B などに影響を受けたという彼は、17歳の頃本格的に音楽活動を開始しました。SoundCloud や Youtube に楽曲をアップしてファンベースを獲得していった彼は、2017年に Alamo Records と契約を結びます。
そして2018年、彼の新曲『Bands』が突如として SoundCloud の再生回数ランキングのトップに浮上します。実はこれが、SoundCloud の楽曲差し替え機能を巧妙に利用したチート行為で、YBN Nahmir のヒット曲『Bounce Out With That』で100万再生を稼いだのち、Comethazine が自身の楽曲に差し替えたのでした。そんなずる賢さだけでなく、A$AP Rocky や Lil Yachty など、人気ラッパーとのコラボレーションも果たした彼の今後に注目です。
Comethazineの代表曲
『Bands』
Comethazine & A$AP Rocky『Walk (Remix)』
11. Rico Nasty
Rico Nasty とは
Rico Nasty こと Maria-Cecilia Simone Kelly はメリーランド出身の22歳(97年生まれ)。プエルトリコ人の母とアメリカンアフリカンの父を持つ彼女は、大麻所持によって当時通っていた学校を追い出されたのち、パプリックスクールに通いながら音楽制作を始めます。
Rico Nasty のキャリア
高校在学時にラップを始めた彼女は、初のミックステープ『Summer’s Eve』をリリースします。高校卒業後、彼女はより本格的に音楽制作に取り組み、『The Rico Story』、『Sugar Trap』と2作のミックステープをリリースします。その後も次々とシングルやミックステープをリリースし、5作目のミックステープ『Sugar Trap 2』は、アメリカの音楽誌「Rolling Stone」にて「2017年のベストラップアルバム」としてリストアップされました。そして2018年、彼女はAtlantic Records と契約を結びます。
昨今の流行である Playboi Carti の「ベイビーボイス」ラップをはじめとし、今や USヒップホップシーンのトレンドとなった高音で歌うラップスタイル。今回は、ヒップホップにおけるオートチューンの歴史や、今日の流行のきっかけを作ったラッパー Young Thug の影響に触れながら、その成り立ちや進化について考えていきます。
オートチューンの歴史
まずは、ヒップホップシーンにおけるオートチューンの歴史について簡単におさらいしようと思います。
オートチューン(Auto-Tune)とは、アメリカのアンタレス社が1997年に製品化した音程補正ソフトのことで、地球物理学者の Andy Hildebrand が地震データ解析用ソフトが音程補正にも応用できることを偶然発見し、開発に至ったそうです。
Frank Ocean の『Nikes』や、Tyler, the Creator の『RUNNING OUT OF TIME』などでも(Young Thug の影響とは言えないものの)ピッチを上げた中性的な歌唱パートが取り入れられ、ヒップホップ、R&B からポップスまで、しっかりメインストリームに浸透していることが窺えます。
Frank Ocean – Nikes
Tyler, The Creator – RUNNING OUT OF TIME
中でもヒップホップシーンにおいては、その盛り上がりが顕著でした。明らかに Young Thug に影響を受けたであろう高音で歌う若手ラッパーが続々と登場し、シーンを盛り上げます。
今日のベイビーボイス・ラップと呼ばれるスタイルを始めたのは、Young Thug の YSL Records とサインしているアトランタのラッパー Lil Keed でしょう。彼もまた Young Thug に影響を受けたラッパーの1人ですが、他の Young Thug フォロワーとは一線を画すような、極端に高いピッチで歌うフロウを聴かせます。
このヒットを受け、Playboi Carti はベイビーボイス・ラップに傾倒するようになります。幼児のような声で絞り出すように歌うラップと耳に残る軽快なアドリブを織り交ぜた彼のスタイルは、もはやラップというより一種の楽器としての側面が強く、Young Thug よりも更に音にフォーカスした進化系であるといえます。
Playboi Carti – @ MEH
Drake – Pain 1993 (feat. Playboi Carti)
Young Thug のスタイルを誇張して進化させたようなこの新しいスタイルは、賛否両論あるものの、チャートではしっかり好成績を残します。実際、Playboi Carti だけでなく、この「ベイビーボイス」ラップと呼べるような歌唱法を用いる若手ラッパーが次々と現れています。
It was not fun. 楽しくなんてなかったよ It’s not nothing that I would want to do again, 刑務所でもう一度したいことは何もないけど but I learned a lot from it. そこでたくさんのことを学んだんだ I feel like if I wasn’t to go to jail, もしそこに行くことがなければ I probably wouldn’t be the person I am—I wouldn’t. おそらくおれはおれ自身じゃなかったと思うよ ’Cause I wouldn’t have sat down and wrote those songs だって、椅子について曲を書くような and I never would’ve been able to focus on what I want to accomplish. おれが成し遂げたかったことに集中できるチャンスはなかっただろうから So it’s like it was actually a good thing for me. だから刑務所での暮らしは、実際おれにとって良いものだった It made me open my eyes and stuff like that. おれの目を覚ましてくれたんだ
(※1) 亡くなった Tjay の仲間の名前。Tjay は Smelly に音楽的なインスピレーションを受けたそうで、自身の楽曲内で度々ネームドロップします。ヒット曲『F.N』でも「I wish my n***a Smelly could’ve seen me lit now (Smelly に今のおれの成功した姿を見て欲しかった)」とラップしています。
Mixed Emotions
アルバム内でも特に際立つ綺麗なメロディラインを奏でる1曲。
I can’t wait to take a picture next to Nicki and Wayne
Nicki Minaj や Lil Wayne と一緒に写真を撮るのが待ちきれないんだ
引用したラインでは、「Nicki Minaj や Lil Wayne といったシーンのトップアーティストと肩を並べるようになった自分」と「同業者というより未だに彼らの1ファンである自分」という2つの側面を上手く表現しています。楽曲をリリースし始めてからわずか2年足らずでスターダムを駆け上がった彼ならではのリリックです。
『Leaked (Remix)』にて Lil Wayne との共演を果たす Tjay
そんな全体を通して甘い歌声で歌い上げる、ポップス或いは R&B 寄りな作風の同アルバムは、初週4.5万枚を売り上げ、Billboard Hot 200にて5位デビューを飾りました。
ニューミックステープ『State of Emergency』
そして Tjay は、明日5月8日にミックステープ『State of Emergency』をリリース予定です。
Teyana Taylor 手がけるホラーシリーズ『Hottieween』の制作&出演や、メンフィスの人気ラッパー Moneybagg Yo との交際(現在既に破局済み)など、多方面において話題を欠かすことなく一気にスターダムを駆け上がった彼女は、2020年3月に新作 EP『Suga』をリリースしました。
JetsonMade(以下Jetson)こと Tahj Morgan はサウスカロライナ州コロンビア出身の23歳(1997年生まれ)。比較的恵まれた環境で育ったという彼は、2010年(当時13歳)頃から Garageband を使い楽曲作りを始め、翌年2011年には本格的にトラックメイクを始めました。
しかし彼は高校卒業後、母親の反対により一時音楽活動から離れていた時期がありました。彼の母親は息子に対して大学進学と就職を望んでいたため、Jetson は不服ながらも大学進学を決めたのですが、もちろん長続きすることはなく1セメスターで退学。その1セメスターの終盤に彼にとって大きな転機が訪れることとなります。それが、アトランタのスター 21 Savage のミックステープ『Slaughter King』への参加でした。
この参加をきっかけに Jetson は本格的に音楽活動へと復帰します。勢いをつけた彼は DJ Drama や Yung Bans ら著名アーティストとの共演を次々と果たします。
DaBaby のデビューアルバム『Baby on Baby』では5曲に参加し、リードシングル『Suge』は US Billboard Hot 100 チャートにて7位を記録。DaBaby にも Jetson にとっても自身最大のヒット曲となりました。
2019年には、YoungBoy Never Broke Again や Roddy Ricch、Lil Keed、Smokepurpp、Rico Nasty など今をときめくラッパー達とコラボを果たしたり、J. Cole 擁する Dreamville のセッションへの参加、更には前述した『Suge』が Grammy の「Best Rap Song」や BET Awards の「BET Hip Hop Award for Best Single of the Year」にノミネートされるなど、彼にとって飛躍の1年となります。
Roddy Ricch のデビューアルバム『Please Excuse Me For Being Antisocial』収録の1曲。Jetson が好んで使用する笛系のシンセとお馴染みの808ラインが、なんとも彼らしい楽曲です。また彼のビートはハイハットも特徴的で、楽曲によって様々なパターンを使い分けます。この曲ではハイハットで絶妙な間と強弱をつけ、ビートに更なるグルーヴを生み出しています。
I make a lot of different types.
俺は色んなビートを作るんだ
My success come from the simple beat,
俺の成功のルーツはシンプルなビートなんだけど
but when you think about it, when you listen to “Suge,”
DaBaby の『Suge』を聴いた後に
but then turn around and listen to an “Oh My God,”
Lil Keed の『Oh My God』を聴いたら
they totally different beats, totally different sounds.
2つは全く違うビートだろ 全く違うサウンドなんだ
I just use whatever sounds good.
俺は、自分が良いと思ったサウンドなら何でも使うんだ
Whatever goes good in that beat is what I’m gonna use.
Uzi は以前から、所属するレーベル Generation Now との関係が良くないことを明らかにしていました。彼のデビューアルバム『Luv Is Rage 2』も同じ問題を抱えてリリースが遅れた過去があり、おそらくそういった問題が悪化し、彼は音楽を辞めるという発言をしたのでしょう(Generation Now のDJ Drama は問題を否定しており、「(アルバムを)出したい時に出せばいい」と発言)。
I was 15, I see my bro Jimmy dead おれが15の頃、仲間の Jimmy が死んだのを見たんだ He felt so cold, I couldn’t even cry 彼は冷たくなって、おれは泣くことすら出来なかった That’s why I sip lean, boy you ain’t even gotta ask why だからおれはリーンを飲むんだ、理由なんて聞くな They wanna shiv me with knives all in my back やつらはおれのことを狙っている
2018年9月に Calboy がリリースしたシングル『Envy Me』が、彼のキャリアを大きく変えます。リリースされるや否や Billboard Hot 100において63位まで登りつめ、YouTube では2500万再生を記録しました。
『Envy Me』のバイラルヒットは、この曲を使った「Demons Challenge」というダンスチャレンジが Tik Tok 上で流行したことがきっかけでした。
https://youtu.be/J0Aoum3NJog
もちろん奇跡的にバズを起こしてヒットしたわけではなく、バズが起こったのにも理由があります。
I was fighting some demons, in the field, bitch, I’m deep in おれは悪魔たちと戦っている、もう戻れないんだ I was raised in the deep end, I know niggas be sinkin’ 困難な環境で育ってきたんだ、落ちぶれていった奴らもいる
その後、Calboy は Kodak Black の「The Dying To Live Tour」に帯同し、ますます知名度を上げていきます。
デビューEP 『Wildboy』
2019年、Calboy は RCA と Polo Grounds Music からデビュー EP『Wildboy』をリリースします。
Moneybagg Yo、Lil Durk、Yo Gotti、Polo G、Meek Mill、Young Thug といった豪華客演陣の参加が、Calboy の注目度を物語っています。
また、Calboy のラップ&ボーカルスキルの向上も顕著に見られます。
『Ghetto America (feat. Yo Gotti & Lil Durk)』
Lil Durk と Yo Gotti が参加した1曲。高音で感傷的に歌う Calboy と Lil Durk のボーカルに、Yo Gotti のねっとりとしたラップが上手くマッチしています(やはり Lil Durk と Calboy のボーカルスタイルは激似ですが、本人(Calboy)はそう言われるのがあまり好きではないみたいなのでここでは控えておきます…笑)。
『Chariot (feat. Meek Mill, Lil Durk & Young Thug)』
Meek Mill、Lil Durk、Young Thug が参加した夢のような1曲で、Calboy も引けを取らない三連符フロウを披露します。
人気アーティストとのコラボ
Chance the Rapper『Get a Bag (feat. Calboy)』
同郷シカゴのスター Chance the Rapper のデビューアルバムに参加した Calboy は、ここぞとばかりにその才能を見せつけます。
今週ニュープロジェクト『Diary of a Lost Child』をリリースしたジョージア州サバンナ出身のラッパー Quando Rondo。人気映画「Fast & Furious (ワイルドスピード)」の最新作のサウンドトラックにも参加するなど、活躍の場を広げ始めている彼の生い立ちやキャリア、魅力に迫ります。
Quando Rondo とは
Quando Rondo こと Tyquian Terrel Bowman はジョージア州サバンナ出身の20歳。Quando Rondo というステージネームは、幼少期のあだ名「Ty-Quando」と、彼の敬愛するバスケットボールプレイヤー「Rajon Rondo」からとったものだそうです。
Rajon Rondo(2020年現在ロサンゼルス・レイカーズ所属)
彼は10代前半頃から友人たちの死と直面するなど過酷な生活を送ってきました。Young Thug や Rich Homie Quan、Chief keef らの楽曲を聴いて育ったという彼の音楽の特徴は、ストレートなリリックと聞き心地の良いメロディアスなフロウです。歌うことから始めたという彼は、「ラップと歌の違いを明確にする必要はない」と語っており、R&Bとも解釈できる彼のスタイルは幅広い層に受け入れられています。今までヒップホップやラップというジャンルに抵抗があったという方にもオススメのラッパーの1人です。哀愁漂うビートに乗る彼の歌声には、一度聴くと病みつきになる中毒性があります。
Quando の壮絶な人生を振り返るという内容の一曲。BPM50前後のゆったりとしたトラックに彼の歌心のあるフロウが映えます。アトランタの人気ラッパー Lil Baby の参加もあり、この曲で彼は一気に知名度を上げます。
YoungBoy Never Broke Again との出会い
Quando のブレイクを語るにおいて、YoungBoy Never Broke Again (以下 NBA YoungBoy) との出会いは欠かせません。
NBA YoungBoy (左) とQuando Rondo (右)
今や NBA YoungBoy のレーベル Never Broke Again にも所属している Quando ですが、二人の関係性は、NBA YoungBoy が Instagrem を通じて Quando に連絡をとったことから始まったそうです。「俺の才能を最初に見出したのは彼なんだ」と Quando が語るように、彼の NBA YoungBoy への信頼が厚いことが分かります。ちなみに、ラッパーとしてのキャリアでは NBA YoungBoy が先輩ですが、年齢は Quando が1歳年上です。
XXL のインタビューでも語るように、彼の1番お気に入りのジュエリーは NBA YoungBoy から貰ったチェーンだそうです。
今回の主役である Quando Rondo は、この曲で自身のロックスターのような生活をフレックスしています。
ミックステープのリリース
2018年、彼は二つのミックステープをリリースします。
『Life B4 Fame』
Lil Baby や Lil Durk、OMB Peezy らが参加した同テープは MyMixtapez にて、わすが二日間で100万回再生を記録。この『Life B4 Fame』というタイトルは、2015年に NBA YoungBoy がリリースした1stミックステープ『Life Before Fame』にあやかって付けられたものでしょう。ここでも NBA YoungBoy へのリスペクトが感じられます。
『Life After Fame』
Youngboy Never Broke Again や Rich Homie Quan、Boosie Badazz らが参加した2ndミックステープ。同作から1曲ご紹介させていただきます。
ちなみにこの曲のフックで使われている彼のフロウは、Rich Homie Quan の楽曲『The Author』からの引用で、「ネクストRich Homie Quan」との呼び声も高い彼ならではのリファレンスです。
2018年12月には、カリフォルニア州ベイエリアのラップグループ SOB X RBE のツアーにオープニングアクトとして参加し、見る見るうちにファンベースを獲得していきました。
そして2019年、彼は満を持して3作目のミックステープをリリースします。
『From the Neighborhood to the Stage』
NoCap や Shy Glizzy、Blocboy JB、Polo G らが参加した3rdミックステープ。同作からも一曲ご紹介させていただきます。
『Gun Powder』
NBA YoungBoy やDaBaby、Rod Wave らへの楽曲提供でも知られる Tahj Money によるプロデュースのこのトラックは、なんと8ヶ月もの間 Quando のメールボックスに眠っていたものだったそうです。
同曲は、タイトルからも察しがつくように攻撃的なリリックが特徴的な一曲です。
I don’t know shit about no murder, gotta keep my mouth closed 俺は殺しについて何も知らない、口をつぐむぜ Just got a brand new Desert Eagle with a cutter that fold 新しいデザートイーグル(自動拳銃)と、アサルトライフル Shower in bleach, rip up the car, make sure you burn all the clothes (痕跡が残らないように)漂白剤で車を洗い、服を全部燃やす My youngin’ down to shoot to kill just for a line of some coke 俺の連れはコカインを楽しむためだけに人を撃ち殺す Sendin’ texts to all the opps like yeah we want all the smoke 早くお前らを殺して一服したいだけ、と敵にメールする We up by six, they down by two, they need the go fix the score 少人数だが、お前らをやっちまうぜ Pop out wit’ poles, アサルトライフルの銃声を響かせる told ’em I won’t spare no kids or no hoes ガキでも女でも容赦しねえ Foot on the pedal, heavy metal, send some shots through yo’ clothes 引き金を引いて服の上からぶち抜いてやる
ここまでの3作のミックステープのタイトル [『Life B4 Fame (名声を得る前の人生)』→『Life After Fame (名声を得てからの人生)』→『From the Neighborhood to the Stage (地元からステージへ)」]』からも、彼が2018年から2019年にかけて一気にブレイクを果たしたことが伺えます。
デビューアルバムのリリース
2020年1月、Quando は待望のデビューアルバム『QPac』をリリースしました。
このファン待望のデビューアルバムには、彼自身の内面的な成長が大きく反映されています。
昨年第一子が誕生し、父親となったQuandoは、『Letter To My Daughter』にて娘への愛を歌います。
I done dedicate my whole heart to you, girl
俺の心を君に捧げるよ You’re the only one know how I feel
俺の気持ちをわかってくれるのは君だけなんだ Run it up to just buy the whole world
全てを手に入れよう I don’t care if it cost a hunnid mill’
それがいくらしたって気にしないさ Want you to know you the only one
君は唯一の存在だってことを分かって欲しいんだ Made me change the way that I live
俺の生き方を変えてくれたのは君だから As a child, promise you’ll have fun
君が立派になるまで、楽しませ続けると誓うよ Ain’t gotta worry ’bout a dollar bill
金のことだって心配いらないさ
Letter To My Daughter
娘を抱くQuando
このような愛に溢れたメッセージがアルバムの随所に見られ、父親として一皮向けた彼の成長が見受けられます。7曲目『Marvelous』に参加している Polo G のヴァースから言葉を借りると、「That gang sh*t a joke, n***a, all you got is family(ギャングシットなんてジョークさ、あんたが手に入れたのは家族なんだ)」の一言に尽きます。愛する妻と娘に恵まれ、生き方を考え直した Quando Rondo の今後に注目です。
そんな、今やグライムシーンのみならずイギリスの音楽シーンを牽引する彼は、本日(2019年12月13日)、待望のセカンドアルバム「Heavy Is the Head」をリリースしました。来年3月下旬には同アルバムを引っさげた来日公演の開催も予定されており、日本でも話題沸騰中の彼について簡単にご紹介させていただきたいと思います。
They say I’m a Youtube n***a おれのことをYouTube野郎だって奴らは言うんだ That’s cool, I’m fine with that 別にいいぜ、気にしないさ But when you see me in the flesh could you give me a shout, でも、もちろん直接会っても言えるんだろうな pull me up and remind me that? おれを呼び寄せて、また言ってくれるよな? Could you please just repeat that again for me? 頼むから直接同じことを言ってみろよ
Look, I don’t even smoke no more but somehow I stay high おれはもう吸わないけど、ハイで居続けるんだ Quit my job, mum bugged out, made my choice, 仕事を辞め、母には見放され、自分の道を選んだ this is my life これがおれの生き方だ And I swear down I can’t do this alone, これはおれ1人ではできないんだ may the dear lord be my guide 親愛なる主が導いてくれるのさ We’ve done some things, おれ達はいろんなことをやったし、 wouldn’t even know where to begin 何から始めるべきなのかも分からなかった but the dear lord knows we tried, so it’s alright でも親愛なる主は分かってくれるんだ、だから大丈夫さ
You’re getting way too big for your boots おまえは自惚れすぎだ You’re never too big for the boot おまえは絶対に成功できない I’ve got the big size 12s on my feet おれは12(29cm)のブーツを履く Your face ain’t big for my boot おまえはおれに及ばない kick up the yout 若者を奮い立たせる Man know that I kick up the yout おれが若者を奮い立たせてるって知ってるだろ Dem boy dere tried twist up the truth やつらは事実を捻じ曲げる How dare you twist up the truth? どうしてそんなことができるんだ
too big for one’s boots : 「自惚れる」というイディオムと、Stormzyの靴(ブーツ)のサイズの大きさには誰も敵わないという意味をかけており、さらには靴から連想される”Kick”という単語を使って話を展開しています。
[Stormzy & MNEK] Lord, I’ve been broken 神様、おれは落ちぶれていたんだ Although I’m not worthy 何の価値もないおれでも You fixed me, now あなたは立ち直らせてくれた I’m blinded by your grace, あなたの恵みに圧倒される you came and saved me おれを救いにきてくれたんだ
そして本日、彼のセカンドアルバム「Heavy Is The Head」が遂にリリースされました。2年越しのリリースということで世界中が待望していたこのアルバムには、Ed Sheeran、Burna Boy、Headie One、Tiana Major9、Yebba、H.E.R.、Aitchら豪華客演陣が参加しており、プロダクションにはFred Gibson、Fraser T Smith、T-Minusらがクレジットされています。
僕自身まだしっかり聴き込めていないので、少しだけご紹介したいと思います。
Crown
I done a scholarship for the kids, 子供達のための奨学金を用意したけど they said it’s racist やつらは人種差別だって言うんだ That’s not anti-white, it’s pro-black アンチ白人ってわけじゃない、”プロブラック”なんだ
Ed SheeranとBurna Boyをフィーチャーしたアフロビートチューン。StormzyとEd Sheeranといえば、今年リリースされたEdのコラボレーションアルバム「No.6 Collaborations Project」収録の「Take Me Back to London」でも共演し、「曲のイメージが変わってしまうという理由で、当曲に参加予定だったJay-Zの参加を断った」という興味深いエピソードも話題となりました。