Lil Pump が Eminem をディス

自身を「新世代のマイケルジャクソン」だと主張し、様々な方面から批判を浴びたばかりのフロリダ州マイアミのラッパー Lil Pump。

そんな彼が再び、性懲りも無く支離滅裂な言動をとったことが話題となっている。今回 Lil Pump の標的となったのは、ミシガン州デトロイトのラッパー Eminem である。

Lil Pump はインスタグラムストーリーにて「ファック Eminem。お前はクソだ。誰もお前の古臭い音楽なんか聴いてねえよ。」と発言した。

https://twitter.com/nojumper/status/1342183277633830912?s=21

言うまでもないが、Eminem の音楽は全世界で多くのリスナーによって楽しまれており、先週リリースされた『Music To Be Murdered By』のデラックス盤の売り上げも好調である。

Playboi Carti『Whole Lotta Red』リリースまでの軌跡

これまで幾度となくリリースが延期されてきた Playboi Carti のニューアルバム『Whole Lotta Red』。今回は、その存在が明かされてから2年以上の月日を経て本日遂にリリースされた同アルバムの歴史について振り返ります。

2018年: ニューアルバムの告知

2018年8月、Playboi Carti (以下 Carti) はニューアルバム『Whole Lotta Red』の存在を明かします。

俺の次のアルバム (タイトル) は『Whole Lotta Red』だ

この『Whole Lotta Red』とは、Carti が所属するストリート・ギャング Bloods のチームカラーと、咳止めシロップ (通称: リーン) の色を指しています。

2019年: 未発表曲のハイプとリリース詐欺

2019年3月、Carti は GQ 誌にて、Louis Vuitton のアーティスティック・ディレクターとして知られる Virgil Abloh を同アルバムのクリエイティブ・ディレクターに任命したことを発表します。

この発表と同時期に、Young Nudy、Playboi Carti、Pi’erre Bourne による未発表曲『Pissy Pamper (Kid Cudi)』が、Young Nudy の友人の Instagramライブにてプレビューされ、ファンの間で大きな話題となります。

Pi’erre Bourne がプロデュースを手掛ける同曲では、山根麻衣『たそがれ』がサンプリングされています

Young Nudy と Pi’erre Bourne のアルバム『Sli’merre』に収録予定だった同曲は、Instagramライブでのプレビュー後ハッカーによって直ちにリークされ、更には Carti も自身のライブ (Rolling Loud) で披露するなど、瞬く間に人気を獲得します。

その結果、未リリースにも関わらず非公式のリーク音源が Spotify の US Viral 50チャートにて1位を獲得しました。

6月には The Fader 誌にて、Trippie Redd や Gunna、Pi’erre Bourne、Don Cannon、Maaly Raw、Richie Souf、Roark Bailey らが同アルバムに参加していることを発表。

そして7月には、ウィスコンシン州ミルウォーキーで行われたライブにて、Carti は本格的にアルバムのリリースを告知します。

60日以内にニューアルバムをリリースしようとしている

嘘はつかないよ

(中略)

ノーフィーチャー (客演無し) だ

しかし結局、2019年内にアルバムがリリースされることはなく、客演参加を除いて自身の楽曲を1曲もリリースしない1年となりました。

2020年: 『Whole Lotta Red』のリリース

2020年1月、Carti は Culture Kings でのインタビューにて、2020年にアルバムをリリースすることを発表します。

準備は出来ている

俺は皆んな以上に準備万端だよ

俺がラップできることを世間に分からせてやるんだ

やばいラインが揃ってる

それが『Whole Lotta Red』だ

同年4月、Carti はシングル『@ MEH』をリリース。同曲は Billboard Hot 100にて最高35位を記録するものの、各方面から酷評を受け、最終的にアルバムには未収録となりました。

『@ MEH』のリリースから約1ヶ月後、Drake との楽曲『Pain 1993』をリリース (Drake『Dark Lane Demo Tapes』収録)。同曲が Billboard Hot 100にて7位デビューを飾り、Carti は自身初のTOP10入りを果たします。

そして11月、Carti はアルバムが完成したことを Instagram にて発表します。

12月にはヒップホップ・パーソナリティの DJ Akademiks が、『Whole Lotta Red』はクリスマス (12月25日) にリリースされると公言します。

https://twitter.com/akademiks/status/1337223450927239168?s=21

Carti のファン達にこの情報を届けるために、俺は文字通り魂を売ったよ

今夜 Carti のアルバムはリリースされないけれど、クリスマスにリリースされる予定だ

そして、Kanye West と一緒に Givenchy のデザイナーである Matthew Williams がエグゼクティブプロデューサーを務めているらしい 独占情報だ

DJ Akademiks は Twitch のライブ配信にてこの情報を先行公開し、その配信時の音声が『Whole Lotta Red』収録の『Control』のイントロにそのまま使用されました

12月21日、Carti は DJ Akademiks の発言通り、クリスマスにアルバムをリリースすることを正式発表します。

https://twitter.com/playboicarti/status/1341250702169935872?s=21
https://twitter.com/playboicarti/status/1341249071030267905?s=21
『Whole Lotta Red』のカバーアートは、70年代後半に出版されていたパンクロック雑誌『Slash Magazine』の表紙をオマージュしたもの

そして本日12月25日、Playboi Carti は遂にニューアルバム『Whole Lotta Red』をリリースしました。

世界中のヒップホップ・ファンが待望していた同アルバムには、Kanye West や Kid Cudi、Future ら大物ゲストが参加し、プロダクションには F1lthy や Wheezy、Pi’erre Bourne、Richie Souf、Roark Bailey、Maaly Raw、Starboy、Art Dealer、Outtatown らがクレジットされています。24曲1時間超えというボリューミーな今作には、比較的最近レコーディングされたと思われる楽曲に加え、過去にリーク済みの楽曲も数曲収録されました。

リリース前に噂されていた Travis Scott や Post Malone、Lil Uzi Vert らとの楽曲や、前述した『Pissy Pamper (Kid Cudi)』に Kid Cudi 本人が参加したアップデートバージョン等は未収録だったため、今後それらを収録したデラックス盤がリリースされる可能性は高いでしょう。

https://twitter.com/playboicarti/status/1341487626344308736?s=20

おわりに

今回は、Playboi Carti のニューアルバム『Whole Lotta Red』のリリースを記念して、2年以上に及ぶアルバムリリースまでのプロセスを振り返ってみました。

「60日以内にリリースする」「嘘はつかない」などと発言しながらアルバムリリースを延期し、2018年から本日までファンを焦らし続けた Playboi Carti。今年の年末年始は、そんな彼の待望の新作『Whole Lotta Red』の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

Written by Riku Hirai

今週のリリース【12月19日〜】

[アルバム]

Playboi Carti – Whole Lotta Red

Lil Durk – The Voice

Tyga & DJ Drama – Well Done Fever

Rubi Rose – For The Streets

Zaytoven – Grinchtoven “Stole The Trap”

J. Stone – The Definition of Pain

Dro Kenji – Race Me to Hell

Lil Wop – Enchanted

Lil Darkie – SWAMP

ShooterGang Kony – F12

Bossman Jd – Yea Im Here

Popp Hunna – Mud Baby (EP)

[シングル]

TheHxliday – Laugh A Little

Jake Paul – Whip (feat. NLE Choppa)

Rowdy Rebel – First Day Out Freestyle

XXS Magazine が選ぶ 2020年ベスト・アルバム20選

Westside Gunn – Pray for Paris

ニューヨーク州バッファローのラッパー Westside Gunn による3作目のアルバムです。全体を通して彼には珍しい欧風でポジティブなサウンドが目立つブーンパップの作品です。彼の所属する Griselda の周辺人物はもちろん、Tyler, the Creator や Wale、Joey Bada$$ などの幅広いゲストの参加も見所です。

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Unknown T – Rise Above Hate

ロンドン・ホマートンのラッパー Unknown T によるミックステープです。彼の音楽はUKドリルに分類されますが、当ミックステープにはトラップや R&B 的なサウンドも散見されます。抑揚がほとんど無いにも関わらず、なぜか耳触りの良いミニマムでソリッドなラップに注目です。

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Drakeo the Ruler & JoogSzn – Thank You for Using GTL

カリフォルニア州ロサンゼルスのラッパー Drakeo the Ruler がプロデューサーの JoogSzn とリリースしたミックステープです。Drakeo the Ruler は11月まで刑務所に収監されており、当ミックステープは全編 GTL 社による電話面会サービスを通して獄中からレコーディングされました。タイムラグや音質、看守による監視など様々な障壁を乗り越えて制作された圧巻の一枚です。

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SahBabii – Barnacles

ジョージア州アトランタのラッパー SahBabii のミックステープです。駄洒落のようなワードプレイや、性的な内容を動物や食べ物に喩えるスタイルなど、彼の独自性が詰まった作品です。夢の中のようなフワフワとしたサウンドと彼の優しげな声色の相性も完璧です。

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Lil Uzi Vert – Eternal Atake

ペンシルベニア州フィラデルフィアのラッパー Lil Uzi Vert によるアルバムです。焦らしの範疇を超えハードルが上がりきっていたにも関わらず、圧倒的なクオリティで全世界を揺るがした作品です。曲中に挟まれているストーリー性のあるスキットや、Working on Dying を筆頭にプロデュースされたサウンドが、アルバムに一貫性をもたらしています。

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Shoreline Mafia – Mafia Bidness

カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するラップコレクティブ Shoreline Mafia によるデビューアルバムです。いかにも悪そうなラップや切ない曲調を中心に構成されていますが、ゲストを含め幅広く他ジャンルにも挑戦しています。後にリリースされたデラックス盤で追加された8曲も含め、捨て曲無しの良アルバムとなっています。

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NSG – Roots

イーストロンドンを拠点に活動するラップコレクティブ NSG によるミックステープです。アフロビートを中心に構成されており、老若男女問わず踊り出してしまいそうな雰囲気の楽しい作品となっています。散見される陽気なアドリブにも注目です。

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Toosii – Poetic Pain

ノースカロライナ州ローリーのラッパー Toosii による7枚目のミックステープです。ハスキーで甘い歌声によるメロディックなフロウや切なく詩的な歌詞、声色の巧みな使い分けが光る作品です。タイトルの通り一般的ではない言葉の言い回しが散りばめられており、耳でも目でも楽しむことができます。

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Stove God Cooks & Roc Marciano – Reasonable Drought

ニューヨーク州シラキュースのラッパー Stove God Cooks が、ベテランプロデューサー Roc Marciano とタッグを組んでリリースしたデビューアルバムです。荒々しくも着実で、覇気のあるラップを聴かせるブーンパップの作品です。Stove God Cooks のラップはもちろんですが、Roc Marciano のトラックにも要注目の一作です。Griselda など現行ブーンパップシーンに興味がある方に特におすすめです。

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G Herbo – PTSD

イリノイ州シカゴのラッパー G Herbo によるアルバムです。シカゴドリルを牽引してきた彼ですが、本作ではギャングスタの強い部分だけでなく、弱みを吐露した楽曲も見られ、彼の人間性が浮かび上がる良作となっています。Lil Durk や Chance the Rapper、Polo G などといったシカゴ勢はもちろん、Lil Uzi Vert や A Boogie、21 Savage などの勢いのある若手の参加にも注目です。

(whoiskosuke)


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J Hus – Big Conspiracy

イギリス、イースト・ロンドンのラッパー J Hus によるセカンドアルバム。レゲエやUKドリルなどの要素を取り入れつつも、あくまでアフロスウィングを軸にした今作は、大ヒットを記録した前作『Common Sense』よりも更に統一感のあるポップな仕上がりとなっています。思わず口ずさんでしまうようなキャッチーなメロディ&サウンドと、シリアスながらもユーモアを交えたリリックが魅力的な1枚です。

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Big Sean – Detroit 2

ミシガン州デトロイトのラッパー Big Sean による自身6枚目のアルバム。前作から約3年ぶりのリリースとなる今作では、「音楽への情熱を取り戻した」と語る Big Sean のメンタリティの変化と地元デトロイトへの愛が存分に表現されています。Hit-Boy がエグゼクティブ・プロデュースを担当した今作は、トラップとメロウなR&Bのバランスが程良く取れた傑作に仕上がっています。Dave Chappelle や Erykah Badu、Stevie Wonder ら豪華ゲストによるインタールードも絶品。

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Spillage Village, JID & EARTHGANG – Spilligion

EarthGang、JID、Hollywood JB、Jurdan Bryant、Mereba、6LACK、Benji. らからなるジョージア州アトランタのコレクティブ Spillage Village によるデビューアルバム。ヒップホップ、R&B、ゴスペル、ネオファンクなどを融合させたカオスな作風でありながらも、生音を多用したソウルフルな雰囲気がアルバムに一貫性をもたらしています。パンデミック下で制作されたという今作は、落ち込んだ人々の心を癒してくれるような多幸感溢れる1枚です。

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Benny the Butcher – Burden of Proof

ニューヨーク州バッファローのラッパー Benny the Butcher のセカンドアルバム。Hit-Boy が全曲のプロデュースを担当した今作は、2000年初期のブーンバップを彷彿とさせるソウルフルなビートが印象的な1枚です。Rick Ross や Freddie Gibbs、Lil Wayne らをはじめとする豪華ゲストにも決して主役を譲らない、Benny the Butcher のキレのあるラップが堪能できます。

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Blxst – No Love Lost

カリフォルニア州ロサンゼルスのプロデューサー/シンガー/ラッパー Blxst のソロデビュープロジェクト。2015年から音楽活動を開始し、プロデューサーとして Eric Bellinger や Kalan.FrFr らに楽曲提供を行っていた彼がセルフ・プロデュースで制作した今作は、90年代R&Bと現行ヒップホップの要素を融合させたサウンドと、程良く力の抜けた甘いシンギング・ラップが魅力的な1枚です。

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CJ Fly – RUDEBWOY

ニューヨーク州ブルックリンのラッパー CJ Fly のデビューアルバム。Statik Selektah が全曲のプロデュースを務めた今作は、90年代のブーンバップの影響を色濃く反映させたアルバムとなっており、土臭くグライミーなビートが堪能できます。ハイセンスなライミングはもちろんのこと、詰め込み気味の早口ラップからブーンバップ由来のゆったりとしたフロウ、更にはキャッチーなシンギング・ラップまでこなす CJ Fly の器用さが光る1枚です。

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Lil Baby – My Turn

ジョージア州アトランタのラッパー Lil Baby のセカンドアルバム。緊張感のあるトラップビートを軸に、Lil Baby がスキルフルなラップとエモーショナルなヴォーカルを絶妙なバランスで聴かせます。初期の Lil Wayne を思わせるバウンス調の『Same Thing』や、Three 6 Mafia『Throw Yo Sets in Da Air』をサンプリングした『Gang Signs』など、サウス・ヒップホップへの敬意も感じられる1枚です。

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Boldy James & Sterling Toles – Manger on McNichols

ミシガン州デトロイトのラッパー Boldy James と、同じくデトロイトのプロデューサー Sterling Toles のジョイント・ミックステープ。生音のフルートやサックス、オルガンなどを用いたジャズに、ソウルのサンプリングを組み込んだカオスなプロダクションが印象的な1枚です。Sterling Toles の変幻自在なドラムパターンやベースラインと、Boldy James の淡々としたブレないラップが絶妙にマッチしており、まるでラップの上でトラックが踊っているかのような感覚に陥ります。

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Pa Salieu – Send Them To Coventry

イギリス・コヴェントリーのラッパー Pa Salieu のデビュー・ミックステープ。アフロスウィングを軸に、ダンスホールやグライムの要素を取り入れたトラックと、アフリカ (ガンビア共和国) にルーツを持つ彼ならではの独特なグルーヴ感が癖になる1枚です。UKラップ的なフロウからレゲエ調のアプローチまでこなす彼のスタイルは、同じくガンビア共和国にルーツを持つ J Hus と比較されがちですが、彼は J Hus より更にアフリカルーツに回帰したストリート色の強い音楽性を提示しています。

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Juicy J – THE HUSSLE CONTINUES

テネシー州メンフィスのラッパー Juicy J の自身5枚目のソロアルバム。多方面からゲストを招きながらも自身のサウンドにフォーカスした1枚で、Three 6 Mafia を彷彿とさせるメンフィスらしいダークで不穏なトラックを軸に構成されています。また今作には、ソウルフルなサンプリング・ビートやアップテンポなクラブバンガー、更には自身及び Three 6 Mafia の過去曲をセルフ・サンプリングした楽曲も多数収録されており、ファンにとってはたまらない1枚です。

(Riku Hirai)


Apple Music Playlist: https://music.apple.com/jp/playlist/the-best-albums-of-2020/pl.u-2aoqr16sNWXxYz0?l=en

Spotify Playlist: https://open.spotify.com/playlist/3o1tmy9rFOJ2S397YhiQnR?si=e4cCSdauS1O8B-kiEwGqqQ

Travis Scott がアルコール飲料『CACTI』のローンチを発表

テキサス州ヒューストンのラッパー Travis Scott が、自身が手掛けるアルコール飲料『CACTI』を来年3月にローンチすることを発表した。

https://drinkcacti.com/

『CACTI Agave Spiked Seltzer』はパイナップル、ライム、ストロベリーの3種類展開で、度数7%のアルコール飲料になる模様。同プロジェクト『CACTI』は、Travis Scott が『FRANCHISE』のミュージック・ビデオにてティージングしていたことで話題となっていた。

今週のリリース【12月13日〜】

[アルバム]

Conway the Machine – From King to a GOD (Deluxe)

Tory Lanez – LONER

YBN Nahmir – Visionland

Sheff G – Proud of Me Now

Pouya & Fat Nick – Drop Out of School 2

Robb Bank$ – Tha Leak, Pt. 2

Rucci – Midget (Deluxe)

Smoove’L – Ice Cups and Shootouts

Michael Christmas – Hiding.

Tadoe – No Guts No Glory

Setitoff83 – The Wake Up

[シングル]

Young Thug, Gunna & Yak Gotti – Take It To Trial

Phora が Whole Lotta Red の落書きに対してコメント

クリスマスにリリースが噂されている Playboi Carti のニューアルバム『Whole Lotta Red』。浮き足立ったファンたちによってなされたニューアルバムに関する落書きが、街中で発見されていることも問題となっている。

Playboi Carti (左) と Phora (右)

そんな落書きの標的とされたアーティストの1人がカリフォルニア州アナハイムのラッパー Phora である。ニューアルバムをリリースしたばかりである彼の巨大広告にも、Playboi Carti のファンによるものと見られる落書きが2箇所で確認されている。

自身のビルボードに落書きの被害を被った Phora はインスタグラムにてこのようにコメントしている。

「ブログやメディアが有りもしない事を伝える前に、俺からこの件について白黒つけさせてくれ。俺は尊敬も軽蔑も深く受け止める。俺は Playboi Carti が大好きだし、彼が俺に直接的な被害を加えようとしていない事も分かっている。でも彼のマーケティングチームは、俺の広告の上に描かれた子供じみていて無礼なイタズラを利用して、アルバムを宣伝しようとしている。ここ LA だけじゃなく、この業界において、誰かを踏み台にして成功するよりもいい方法を知っておいた方が良い。でも、この業界のみんなは自分以外が輝くのを見たくないみたいだね。」(Phora のインスタグラムより一部抜粋)

自身のファンの行動をコントロールできなくなっている Playboi Carti の立場を理解しつつ、このようなコメントを発表した Phora であったが、投稿のコメント欄では Playboi Carti に対するリスペクトは無くしていないことも追記され、彼の人間性が垣間見えることとなった。

「リリースされたら、ストリーミングするよ。Carti の芸術性には愛と敬意を持っているからね。」

Rowdy Rebel が約6年の懲役を経て釈放される

ニューヨーク・ブルックリンのラッパー Rowdy Rebel が、約6年の懲役を経て本日 (米時間15日) 釈放されたことが明らかとなった。

Rowdy Rabel は、2014年に Bobby Shmurda をはじめとする GS9 のメンバーと共に共謀罪や銃器の所持によって逮捕されていた。New York State Department of Corrections and Community Supervision によると、彼の保護観察期間は最大で2025年12月まで続く見込みとのこと。

Toosii – 心地よい痛みを歌うメロディックな新鋭ラッパー

2020年に突入してからも『Platinum Heart』や『Poetic Pain』などのミックステープをリリースし、着々とヒップホップ及び R&B シーンからの指示を集めているラッパーの Toosii。耳触りのいいメロディックなデリバリーや、切なくも共感を呼ぶリリックがリスナーたちの心を掴み、彼の虜となる者が続出しています。今回はそんな彼の生い立ちやキャリアを、おすすめの楽曲とともにご紹介します。

生い立ちと楽曲スタイル

Toosii(トゥーシー)こと Nau’Jour Grainger は、ニューヨーク州中央部に位置する商工業都市シラキュースにて産声を上げました。幼少期はサッカーに夢中だったらしく、プロの選手を目指すことも考えていたそうです。同時に、自らの心の中で感じたことを言葉に書き起こし、それらを歌にすることに魅力を感じていたという彼は、ミュージシャンをになることも将来の選択肢の一つとして検討し始めました。

Toosii

ミュージシャンとして活動していくことを決めた Toosii はノースカロライナ州のローリーに拠点を移し、KingToosii 名義で『Label Me Deserve』『Hell on Earth』などのミックステープを Spinrilla にて公開します。1作目のミックステープ『Label Me Deserve』には、Chance The Rapper の名曲『Angels』のビートジャックなども収録されています。

彼は、そのメロディックなデリバリーやトラックのチョイスから Roddy Ricch と比較されることが多いアーティストです。しかし、Toosii 本人は「自分はこの世界の誰からも影響を受けたことがない」と語った上で「みんなは俺をゴミ屑と比較するのではなく、スターと比較してくれたんだろ。」と発言し、Roddy Ricch と比較されることに嫌悪感を示していないことを明かしています。

Toosii の人気が沸騰している要因としてメロディックなデリバリーの他にも、彼によって書かれた共感できるリリックが挙げられます。彼は、自らの楽曲のスタイルについて UPROXX のインタビューにてこのように語っています。

A lot of my fans are people who’ve been through things and I make insightful music that gives you that cry you need. You ever had a good pain? Like a pain that hurt, but it don’t really hurt, because it also feels good. I make that kind of music.

俺のファンの多くは心の中に辛い何かを抱えていることが多いから、俺は彼らに寄り添った音楽を作るんだ。辛い時に聴いて泣いても良いような楽曲をね。君たちは「心地よい痛み」を感じたことがある?それは俺たちを傷つけるんだけど、同時に心地よさも与えてくれる痛みなんだ。俺はそんな感じの音楽を作っている。

UPROXX

多くの人が直面する人生や恋愛においての「もがき」や「葛藤」を言語化し、それらをメロディックな楽曲に乗せてファンたちに届けること、それが Toosii の魅力の一つです。

ミックステープ『Platinum Heart』

Toosii は6枚目のミックステープである『Platinum Heart』をリリースした頃から、ヒップホップ及び R&B シーンに頭角をあらわすようになりました。当ミックステープは約2ヶ月後にデラックス盤もリリースされたことで、さらなる注目を浴びました。今回はその中でも必聴の楽曲をご紹介します。

Toosii – Love Cycle

R&B とトラップの中間をいくような、ゆったりとしたトラックに緩急を激しくつけたフロウを用いた一曲です。フックには意中の女性との会話を実際の対話形式で組み込まれていることで、彼の恋愛観を目の前で見ているような感覚に陥ります。また、Toosii によるリリックの魅力の一つとして絶妙で詩的なワードチョイスが挙げられ、当楽曲もその魅力を全面に押し出したものとなっています。

You got me stuck inside your love cycle, I read your love bible
君は俺を愛の循環に巻き込んでいく、愛の聖書を読んだんだ

We give the hood guidance, we keep the hood smilin’
俺たちはフッドでどう振る舞うかを知っているし、仲間たちの笑顔を絶やさない。

最新ミックステープ『Poetic Pain』には、当楽曲に Summer Walker を招いたリミックスバージョンも収録されて話題を呼びました。Toosii と Summer Walker が実際の恋人のように繰り広げる掛け合いが注目されており、London On Da Track の反応が気になる一曲となっています。

ミックステープ『Poetic Pain』

『Poetic Pain』は2020年9月18日にリリースされた Toosii による7枚目のミックステープです。タイトル(直訳すると「詩的な痛み」)からも感じ取れるように、Toosii が得意とする「心地よい痛み」を表現することに力を入れた作品で、実際にメロディックなフロウに乗せて紡ぎ出される詩的な言葉がファンたちの中で共感を呼んでいます。本作からも必聴の楽曲を数曲ご紹介します。

Toosii – Poetic Pain

今作の表題曲となっているこちらの一曲は、意中の女性に手紙を書くように「詩的な痛み」を歌い上げる構成となっています。一般的に見ると少々重いテーマとなっていますが、早めのテンポのトラックとメロディックなデリバリーが相まって、かなり爽やかに仕上がっています。

Poetic pain, I just wrote you a love letter
詩的な痛み 君に恋文を書いたところだよ

Let you know my heart shattered
俺の心が打ち砕かれたことを君に知って欲しい

Let you know my heart shattered
俺の心はもうボロボロだ

Took a trip, let’s be on Saturn
土星に旅行に出かけよう

Take a trip, let’s be on Saturn
土星に旅行に出かけよう

注目すべき点は、同じ文言が連続で歌われていることと、連続した同じ文言が違った声色で歌われていることです。実際の詩においても反復法として同じ文言を繰り返す技法が存在しますが、Toosii はそれを楽曲のリリックに応用していると思われます。また一回目を高音で、二回目を低音で歌うことで表現に深みを持たせ、彼の恋心の中にある葛藤のようなものが垣間見えるように作られているのではないでしょうか。

Toosii – Calls

ミックステープの後半に収録されているこちらの一曲は、愛する仲間が刑務所に収監されてしまった際に、捕らえられた仲間とは対照的に自由の身である彼が感じた想いを歌った楽曲です。本作では恋愛に関するトピックが歌われた楽曲が多く見られましたが、当楽曲に関しては仲間に対する思いを綴っています。

You knowing that shit kinda be hard when you, When your loved ones behind that, Them bars, you know, behind that cell
愛する仲間が檻の向こう側の部屋にいるという状況が、どれだけ辛いかわかるよな

All in them walls and shit like that and you can’t do not’in
仲間は壁の向こうにいて、俺は何もしてやれない

That shit hurt
そんなの辛すぎるよ

Sitting here on the outside, I could only imagine how you feeling
俺はここに座って、お前が何を感じているかを想像することしかできない

その他の作品

Toosii はそのメロディックで落ち着いたスタイルから、ここ最近はたくさんのラッパーたちの楽曲にゲスト参加しています。ここではその中でも特に良い作品をピックアップしてご紹介します。

DaBaby – Bidness (feat. Toosii)

Toosii と同じく South Coast Music Group にサインしているオハイオ州クリーブランドのラッパー DaBaby が、自ら命を絶った兄に捧げてリリースした EP 『Brother’s Keeper』に収録されている一曲です。Jetsonmade による声ネタのループトラックに、二人が詰め込み気味のラップを乗せています。

Toosii のバースではソリッドなラップを披露しており、得意のメロディックなフロウはほとんど登場しません。しかし最後は、DaBaby によるフックの後ろに Toosii がハモリを入れる構成をとっており、Toosii の魅力を最大限に引き出した楽曲と言えるでしょう。

Queen Naija – One Time (feat. Toosii)

ミシガン州イプシランティのシンガー Queen Naija によるデビューアルバム『missunderstood』に収録された一曲です。Toosii は『Love Cycle』にて Summer Walker との共演を果たしたことで、R&B のアーティストたちにも注目され始めています。Hitmaka による壮大でゆったりとしたトラックに、のびやかな歌声を披露しています。

おわりに

2020年の精力的な活動を通して絶大な人気を獲得し、インスタグラムではすでに200万人のドロワーを獲得している Toosii。ミックステープ『Poetic Pain』では独自のスタイルが固まったような印象が感じられ、彼のキャリアはまだまだ始まったばかりです。これからの彼の動向からは目が離せません。

Written by whoiskouske

DJ Akademiks が Playboi Carti のアップカミングアルバムの詳細を明かす

ヒップホップに関するメディアパーソナリティや DJ として知られる DJ Akademiks。これまでにもファンたちが喉から手が出るほど欲しがるヒップホップニュースを自身の SNS で明かしてきた張本人だ。

DJ Akademiks

現在、ヒップホップリスナーの中で最も求められていると言っても過言ではないのは、Playboi Carti のニューアルバムに関する情報である。

Playboi Carti は本日、自身のインスタグラムを更新しアルバムをリリースする準備ができていることを明かした。

「アルバムのリリースを控えていることが信じられない。あと、戦車を手に入れた。ありがとう Kanye。」というキャプションと共に3枚の写真が投稿された。

そして本日、 DJ Akademiks は新たな情報をツイッターにて公開した。以下彼のツイートを引用。

「Carti のファン達にこの情報を届けるために、俺は文字通り魂を売ったよ。今夜 Carti のアルバムはリリースされないけれど、クリスマスにリリースされる予定だ。そして、Kanye West と一緒に Givenchy のデザイナーである Matthew Williams がエグゼクティブプロデューサーを務めているらしい。独占情報だよ。」

彼による情報の信憑性は比較的高いと定評があるが、あくまで Playboi Carti に関するニュースであるため、正式なアナウンスがあるまでは安心はできないだろう。