Popp Hunna – ノースフィリー発 TikTok からの刺客

昨年の10月にリリースした楽曲『Adderall (Corvette, Corvette)』が TikTok において爆発的なバイラルヒットを記録し、わずか数ヶ月の間に誰もが知る人気者となった Popp Hunna。昨年のクリスマスに待望の EP 『Mud Baby』をリリースし、Lil Uzi Vert や Toosii らとのコラボレーションも話題となりました。今回はペンシルバニア州フィラデルフィアからの新鋭ラッパー Popp Hunna についてご紹介します。

生い立ちとキャリアの開始

Popp Hunna こと Omir Bernard は 2000年の10月21日にペンシルバニア州のノースフィラデルフィアにて産声を上げました。Popp 自身は自らの幼少期のことをほとんど語っておらず、その真相は明らかにされていませんが、生まれた時からストリートでのギャングアクティビティーを目の当たりにしてきたと言います。

Popp Hunna

2019年後半から楽曲制作を開始した Popp は、2020年の1月に12曲入りのミックステープ『One Year Later』をリリースします。CashMoneyAP や YoungNewYork をプロダクションに引き連れ、ノーフィーチャー(客演なし)でリリースされたこちらのミックステープは、初期の Lil Tjay のスタイルを彷彿とさせる耳障りの良いフロウを中心に構成されています。

その中でも、『I’m Single』でみせたキャッチーで可愛らしい歌声が若い世代の心を掴み、TikTok にてバイラルヒットを引き起こします。

TikTok を利用したマーケティングが効果的であると気づいた Popp は、自らの TikTok でも楽曲のプロモーションを兼ねたダンス動画を投稿するようになりました。

『Adderall (Corvette, Corvette)』のヒットとリミックス

2020年の前半に『I’m Single』のヒットを経験した Popp でしたが、後半にはもう一曲のバイラルヒットを生み出します。それが、皆さんもご存知の『Adderall (Corvette, Corvette)』です。こちらもやはり TikTok を中心にダンス動画とセットでヒットを起こし、現在 YouTube では約1500万回再生、TikTok では当楽曲を使用したダンス動画が2500万本以上も投稿されています。

TikTok のアプリを開けば聴かない日はないほど、爆発的な人気を博したこちらの楽曲ですが、その人気にさらに火をつける出来事が起こります。それは Lil Uzi Vert を招いたリミックスバージョンのリリースです。

StaySolidRocky の『Party Girl』などをはじめとし、 Lil Uzi Vert がアップカミングなラッパーのヒット曲に対してリミックスとして後から参加するパターンが目立っていましたが、今回も同じ手法でフックアップを行っています。

EP『Mud Baby』のリリース

Lil Uzi Vert が参加した『Adderall (Corvette, Corvette)』のリミックスバーションで話題となった Popp は、一週間後に EP 『Mud Baby』をリリースします。Toosii や Petty Levels に加え、Lil Uzi Vert が二曲に参加しています。

ハスキーで甘い歌声が特徴的な Toosii と Popp の優しい歌声の愛称はファン達の心を掴み、Petty Levels とのアップテンポな楽曲『Street Love』は、TikTok でのダンスブームをさらに加速させました。

スニッチ騒動

EP『Mud Baby』をリリースした3日後、Popp は約6年前に自身が関与した銃撃事件に関して警察に密告、いわゆるスニッチを行なっていた事実がリークされ、非難を受ける騒動が発生しました。

この騒動を知った Lil Uzi Vert は、3日前にリリースされた EP に収録されている『Adderall (Corvette, Corvette)』と『Take Off』においての自分のバースを取り除くように要求する事態へとつながりました。

Popp はインスタグラムストーリーズにて「俺はもうラップをやめるかもしれない。あの事件のせいで俺の評判はガタ落ちだ。」と書き込んでおり、早すぎる引退が心配される声も上がりました。

しかし、Popp が事件に関与したのは 14歳の頃であり、警察に事件の経緯を報告することは自然な流れであると考える人々も少なくはありませんでした。

その後の彼の心情の変化などはいまだに明らかとなっていませんが、インスタグラムなどの更新は継続しており、すぐに引退してしまう心配はないように思えます。

おわりに

今回はTikTok を通して一躍ブレイクを果たした、ノースフィラデルフィアからの新鋭ラッパー Popp Hunna に関してご紹介してきました。短期間での楽曲の大ヒットや騒動を経験した彼は、これからどのように活動していくのでしょうか。今後の彼の動向に要注目です。