The Kid LAROI – オーストラリアの新星ヒットメーカー

Juice WRLD の遺作『Legends Never Die』への参加や、Lil Tecca や Lil Tjay などの人気若手ラッパーたちとの共演で注目が集まる中、満を辞して待望のニュープロジェクト『Fuck Love』をリリースしたばかりの The Kid LAROI。今回はそんな彼の生い立ちやキャリア、魅力について迫ります。

The Kid Laroi とは

The Kid LAROI (ザ・キッド・ラロイ) こと Charlton Howard は 2003年8月16日にオーストラリアのシドニーに生まれました。現在のヒップホップシーンでは珍しいオーストラリア出身で、まだ16歳とかなり若いのも特徴の一つです。

シドニーで生まれた The Kid LAROI (以下 LAROI) は幼少期からヒップホップを中心とする音楽に親しんでいました。彼の母親はオーストラリアの音楽をほとんど聴かない人物だったそうで、母親が幼少期の LAROI に Kanye West や 2Pac 、Erykah Badu などの音楽を聴くことをすすめたことが、彼がヒップホップと出会うきっかけとなったそうです。

彼の音楽は Juice WRLD や Trippie Redd のそれと比較されることが多く、「サウンドクラウドラップ」や「エモラップ」にカテゴライズされることが多いです。実際に彼が音楽の道を志し始めたときには、彼はすでに Juice WRLD の大ファンだったそうで、Juice WRLD による影響はかなり大きいとインタビューの中でも語っています。

キャリアの開始

LAROI は2018年にオーストラリアのラジオ番組の新人アーティスト発掘コーナーである Triple J Unearthed High にてファイナリストまで勝ち上がります。コンペティションにて知名度を格段に上昇させた LAROI は同年に初の EP 『14 WITH A DREAM』を SoundCloud にて公開します。

1曲目に収録されている『GO GET IT』では、EP のタイトル通り「14歳にして大きな夢を思い描く」彼の決意や大志がひしひしと感じられます。メロディアスなラップや、フックを歌い上げるスタイルの楽曲が多い現在の彼に対し、初期はシリアスなラップを淡々とこなすスタイルが特徴的です。

4曲目に収録されている『Blessings』では、メロディアスでありながらもシリアスさを持ち合わせる力強いラップを堪能することができます。当 EP の中では、こちらの楽曲が特に大きな話題を呼び、彼のキャリアを躍進させるきっかけとなりました。

Juice WRLD をはじめとした SoundCloud 発のエモラップを好むリスナーたちを中心に徐々にファンベースを築き上げていった LAROI は2019年に Juice WRLD も所属する Lil Bibby によるレコードレーベル Grade A Productions や Columbia Records との契約を交わしました。

その後、 LAROI は Juice WRLD によるライブツアーのオーストラリア公演への同行を果たし、憧れだった人気ラッパーたちに仲間入りします。ツアーの際に憧れの存在である Juice WRLD との親交を深めた彼は、のちに彼とのコラボ曲も発表します。

Juice WRLD と The Kid Laroi

The Kid LAROI の楽曲とスタイル

彼のキャリアや生い立ちについておさらいした上で、彼の楽曲についてご紹介していきます。今回が初めての長編プロジェクトということで、まだまだリリースした楽曲の数は多くありませんが、すでに多くの人気アーティストとのコラボレーションを果たしていたりと、楽曲のクオリティはかなり高いものとなっています。

Diva (feat. Lil Tecca)

メガヒット『Ransom』などでも有名な SoundCloud 発のラッパー Lil Tecca をゲストに招いた楽曲です。当時 LAROI は16歳、Lil Tecca は17歳とかなり若い二人のコラボレーションです。ミュージックビデオは 2億5千万回以上の再生回数を誇る Lil Tecca の『Ransom』も監修した Cole Bennett によるもので、サウンドクラウドラッパーたちにとっての夢を若くして叶えました。

The Kid LAROI & Juice WRLD – GO

LAROI の憧れの存在でもあった故 Juice WRLD をフィーチャーした楽曲です。楽曲自体は Juice の死後にリリースされましたが、オーストラリアでのツアーに同行した際にレコーディングされた楽曲で、ミュージックビデオにもその時の様子が映し出されています。

最後のフックでは、LAROI が担当するメインメロディに、まるで今この瞬間も生きているかのように Juice がハーモニーを重ねます。互いをリスペクトしあっていたという二人の美しいハーモニーは必聴です。

The Kid LAROI & Lil Tjay – Fade Away

NY・ブルックリンを拠点とし、哀愁漂う切ない楽曲からドリルミュージックまで幅広くこなすラッパー Lil Tjay をフィーチャーした楽曲です。 哀愁を感じるトラックの上で、Lil Tjay は十八番である切なくも魅力的な声色でラップし、LAROI は力強い歌声で歌い上げます。

Tell Me Why

7月17日にリリースされたばかりのこちらの楽曲は、Juice WRLD へのトリビュートソングです。憧れの存在であり、互いをリスペクトし合う最高の仲間でもあった彼との突然の別れをテーマにした楽曲です。

Tell me why, tell me why
なぜか教えてよ。

It’s so hard to say goodbye
さよならを言うのは辛すぎるよ

お気づきの方も多いかもしれませんが、彼のプロジェクトのカバーアートには度々日本のアニメにインスパイアされたと見られる作品が採用されています。今作の『Fuck Love』に関しても、渋谷の街並みを背景にキャラクター化された LAROI の姿を確認することができます。将来的には日本で公演を行ってくれる日も来るかもしれません。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回はオーストラリアの新星ヒットメーカー The Kid LAROI の生い立ちやキャリア、魅力について迫りました。まだ始まったばかりの彼の音楽キャリアですが、これからも彼から目が離せません。

Written by whoiskosuke