先週の金曜日に、ニュープロジェクト『Hood Champ』をリリースしたアトランタのラッパー HoodRich Pablo Juan だが、またしてもジュエリーコレクションの一部を盗難される被害にあった模様。今回の盗難事件は、以前から HoodRich と敵対している人物である MPG Lil Roxk が、ソーシャルメディアに公開した動画が発端となって発覚した。
1. Intro (Still Adjusting To Fame) 2. Forbes List ft. 42 Dugg 3. Big Boy Status ft. Young Thug 4. Run Off ft. Cook Laflare 5. My Brotha 6. Static 7. All I Want ft. NBA YoungBoy 8. How I’m Living 9. Messages 10. Big Things ft. Yella Beezy 11. Miss My Bro’s 12. Crime Pay ft. Meek Mill & Rick Ross 13. Better Man 14. Rich B*tch
Young Thug や NBA YoungBoy は言わずもがな、 Meek Mill や Rick Ross 、さらには 42 Dugg や Yella Beezy までレジェンドから実力派まで、かなり大御所のラッパーのアルバムと言われても不思議ではないほど、豪華な客演となっている。
以前にも、Farruko, Nicki Minaj & Bad Bunny の『Krippy Kush (Travis Scott Remix)』にてスペイン語のラップを披露した Travis。『HIGHEST IN THE ROOM (REMIX)』で初共演を果たした Travis と Rosalía の新たな楽曲を近々聴くことができそうだ。
アトランタを中心として、発展を続けるトラップミュージック。Future や Young Thug、Gucci Mane などがその代表として挙げられますが、その勢力はアトランタにとどまることはなく、今や世界中に広まりつつあります。今回はそんなトラップミュージックのニュースター Gunna についてまとめてみたいと思います。
『Drip Season』シリーズや『Drip or Drown』シリーズで知られ、高級ブランドを身に纏っている現在の姿とは程遠い、坊主頭の彼を見ることのできる MV にも注目です。(未だに再生回数が16000回であることから、Yung Gunna 時代にはほとんどファンベースを築けていなかったようです。)
Young Thug との出会い
いかにも冴えないラッパーというイメージだった彼に、その後のキャリアを180° 転換する大きな転機が訪れます。それが、アトランタのラップスター Young Thug との出会いです。
Young Thug の親友である Keith Troup というラッパーを通して Gunna と Thug は出会いました。 二人を繋ぎとめた Keith Troup はその後すぐに亡くなってしまいましたが、Thug は Gunna の実力を認め、自身のミックステープ『Jeffery』に参加するチャンスを与えました。Gunna は『Floyd Mayweather』にて Gucci Mane と Travis Scott という超豪華メンバーに混ざって本気のラップを見せつけました。
『Floyd Mayweather』を聴いた Thug のファンたちは、ビッグネームに混ざる謎の若手ラッパーの名前に興味を持ち始め、 「Young Thug のアルバムに参加している Gunna というラッパーがヤバイ」という噂が瞬く間に広がり始めました。大物ラッパーが自らのキャリアに満足するのではなく、積極的に若手をフックアップして、ラップゲーム全体を盛り上げようとする姿勢は本当に素敵なものだと思います。
1st ミックステープ 『Drip Season』
『Floyd Mayweather』によって爆発的に認知度を得た彼は、2ヶ月後に Gunna 名義下での初めてのミックステープ『Drp Season』をリリースします。ちなみにこの時点で Young Thug が率いるレコードレーベル YSL Records との契約を果たしています。
彼をフックアップした張本人である Young Thug はもちろん、のちに YSL との契約をはたすラッパー Nechie や Young Trez などに加え、プロダクションには Narcos や Billboard Hitmakers、そして現在も Gunna とタッグを組んで楽曲制作に勤しむ Wheezy などが参加しています。
Cop Me a Foreign (feat. Young Thug)
Gunna が自らの名義下で初めて Thug を招いた記念すべき楽曲です。Yung Gunna 時代からは想像もできないほど、多彩なフロウやメロディーラインを用い、明らかにレベルアップしている事を感じ取る事ができる楽曲となっています。
再生時間は5分10秒と、トラップミュージックの中ではかなり長い方に分類されるこちらの楽曲ですが、面白いのは二人のバースの占有率です。Gunna のフックから幕開けし、1分58秒までは Gunna のバースが続きますが、その後の3分12秒は全て Thug によってラップが繰り広げられるという、ホストとゲストが逆転した構成になっています。
Gunna によってラップされたフックを、2回目のフックはそのまま Thug がラップし直していたりと、面白い要素をできるだけ詰め込んだ欲張りな楽曲となっています。目まぐるしく変化する Thug のフロウにも要注目です。
2nd ミックステープ 『Drip Season 2』
一作目のミクステで完全に勢いに乗った彼は、その7ヶ月後に二作目のミクステ『Drip Season 2』をリリースします。当時セルフタイトルアルバムをリリースした直後だった Playboi Carti や YSL 所属の Lil Duke、 他にも HoodRich Pablo Juan などが客演として参加しています。さらに、プロダクションには TM88 や Zaytoven、Pi’erre Bourne などの名だたるメンバーを招き、かなり華のあるミクステに仕上がりました。
Pi’erre Bourne のトラックを使用し、Playboi Carti 色に染まった『YSL』や、不穏な雰囲気のトラックに落ち着いたラップをのせた HoodRich Pablo Juan との『Mayors』などから感じ取れるように、Gunna は他のラッパーの雰囲気にうまく馴染む事ができるラッパーだと思います。このような適応性の高さも、のちに彼が参加した楽曲がリリースされない週がなかった状況を作り出した一つの要因なのではないでしょうか。
3rd ミックステープ『Drip Season 3』
奇抜でキャッチーなアルバムカバーが目を引く三作目のミックステ『Drip Season 3』は、2018年の2月にリリースされました。一年以上のインターバルを挟む事なく、コンスタントにプロジェクトをリリースしていくスタイルも、彼の人気にさらに火をつけて行きました。すでに超人気ラッパーに仲間入りしていた彼の新譜は、もちろんのこと期待されていたわけですが、本作はその期待を優に超えてきた傑作と言えます。
Lil Uzi Vert や Lil Durk、NAV などの勢いのある若手をたくさん招き、トラックリストが公開された時点でファンたちは大盛り上がりでしたし、プロダクションには Metro Boomin や London On Da Track 、Turbo などが参加し、これまでのキャリアの集大成的なミクステに仕上がっています。(これだけ力を入れた作品がミクステというのもまた一興です。)
Car Sick (feat. Metro Boomin & NAV)
Metro Boomin による浮遊感のあるトラックの上で、Gunna と NAV が交互にラップしていく構成のこちらの楽曲。Tesla Pill という、テスラ社のロゴが刻印された MDMA をテーマにした楽曲で、ドラッグを服用することで起こる身の回りの変化などをラップしています。
テスラ社のロゴと MDMA の一種である Tesla Pill
Oh Okay (feat. Young Thug & Lil Baby)
Turbo によるアコースティックギターのトラックの上に Young Thug と Lil Baby を招いたこちらの楽曲。これぞ YSL という雰囲気の楽曲に仕上がっています。Gunna の同じメロディのラインを淡々と繰り返すスタイルはこちらの楽曲で顕著に聞く事ができます。
これを機に出会った Gunna と Lil Baby は、のちにジョイントミックステープ『Drip Harder』をリリースし、兄弟のように互いのパートナーとなります。
1st アルバム『Drip or Drown 2』
三枚のミクステを順調にリリースし、すでに強固なファンベースを築き上げていた彼ですが、このタイミングでデビューアルバム『Drip or Drown 2』をリリースします。ちなみに二、三作目のミクステの間に全曲 Wheezy によってプロデュースされた EP である『Drip or Drown』をリリースしているので、本作は『2』となっています。
Young Thug 擁する YSL Records 所属のラッパー Gunna が、今週金曜日にリリース予定のニューアルバム『WUNNA』のカバーアートとトラックリストを公開した。
Young Thug、Turbo、Wheezy の3人が監修を務める今作には、Young Thug や Nechie、Lil Baby、Roddy Ricch、Travis Scott らが客演として参加し、プロダクションには Wheezy、Turbo に加え、Tay Keith や Mike WiLL Made-It らがクレジットされている。
Future が先週リリースしたニューアルバム『High Off Life』が、彼にとって自己最高の初週売上となる勢いを見せている。
同アルバムは初週17〜18.5万ユニットの売上が予測されており、これが実現すれば、2015年リリースのアルバム『DS2』の15.1万ユニットを超えると同時に、彼にとって7枚目の US Billboardチャート1位デビューのアルバムとなる。
大々的なプロモーションを行わなかったのにも関わらず、Drake をフィーチャーしたヒット曲『Life is Good』収録の効果もあり、リリース後わずか30分ほどでゴールド認定された『High Off Life』。シーンに登場して早10年以上経つ Future だが、彼の勢いはまたまだ衰えを知らないようだ。