待望のコラボテープ『Pluto x Baby Pluto』をリリースしたばかりの Future と Lil Uzi Vert。今回は新作がリリースされた記念に、これまでの彼らの共演について振り返ってみましょう。
そもそも「Pluto」とは?
アルバムタイトルにも起用されている「Pluto」というワード。「Pluto」は、単刀直入にいうならば Future が自身のデビューミックステープ『Pluto』から発案したニックネームです。Future は Pluto を自身のオルターエゴ的存在に位置付けており「Pluto はよりクリエイティブなモードに入った時の俺だ」と語っています。
一方「Baby Pluto」はというと、 Lil Uzi Vert が Future に倣って自らにつけたニックネームです。『Eternal Atake』のリリース直前に突如 Twitter にて新たなニックネームを発表し、現在はハンドルネームでも Baby Pluto を使用しています。
Future のヘアスタイルがブロンドであったこと (Pluto が意味する冥王星が金色である) から Pluto というニックネームを考案したという逸話をもとに、 Lil Uzi Vert も自身のヘアカラーをブロンドに変更後、Baby Pluto を名乗り始める徹底ぶりでした。
ちなみに Lil Uzi Vert はそれ以前にもオレンジ色に髪の毛を染めた際、「Orenji (オレンジ) か Renji (レンジ) 、これが俺の新しいニックネームだ。」というツイートをしており、ヘアカラーによってニックネームを変更することに魅力を感じているようです。
数々の共演作
DJ ESCO – Too Much Sauce (feat. Future & Lil Uzi Vert)
Future と Lil Uzi Vert は、ジョージア州アトランタのレコードプロデューサー DJ ESCO の名義下でリリースされた楽曲『Too Much Sauce』にて初共演を果たしました。
Zaytoven の十八番である美しいピアノベースのトラックに、ゆったりとしたラップを載せる Future と Lil Uzi Vert の掛け合いが話題となり、初共演にして大ヒットを記録しました。リリースから4年以上が経過した現在でも古臭さを感じさせない二人の共演作ですが、初期に多用していた Lil Uzi Vert の詰め込みラップ(いわゆる Old Uzi)が所々にみられます。
Lil Uzi Vert – Seven Million (feat. Future)
『Too Much Sauce』での初共演後、約一ヶ月後にリリースされた Lil Uzi Vert のミックステープ『The Perfect LUV Tape』に収録された『Seven Million』で彼らは二回目の共演を果たします。
XL Eagle と Don Cannon、 Nard & B のシンプルなトラックに両者が交互にラップをするスタイルの楽曲です。中盤からの Lil Uzi Vert のバースでは、アドリブを多用した慌ただしいラップが見所です。
Lil Uzi Vert – Wassup (feat. Future)
『Seven Million』での共演から4年ほどの歳月が経ち、ファンたちが待ち望んだ Future と Lil Uzi Vert のコンビが復活します。久方ぶりの共演は、 Lil Uzi Vert の待望のアルバム『Eternal Atake』のリリース後、14曲の新曲を追加してわずか一週間のスパンでリリースされたデラックスバージョン『Eternal Atake (Deluxe) – LUV vs. The World 2』においてでした。
『Wassup』では、Pi’erre Bourne の SF系トラックが使用されており、両者ともに歌もの寄りのスムースなフロウを披露しています。今回リリースされた『Pluto x Baby Pluto』のトレーラーでは、Future による「俺たちはここではない別の星に行かなければならない。俺たちの世界にな。」という発言が見られましたが、彼らの地球以外への星をテーマにした世界観は、こちらの楽曲からもその鱗片が窺えます。
Everybody know I am from outer space (Yeah)
みんな俺が宇宙からやってきたと知っているだろSo you know that aliens be sendin’ me (Woah)
宇宙人が俺を地球に送り込んだということも知っているだろ
Future – All Bad (feat. Lil Uzi Vert)
『Wassup』にて再会を果たした Future と Lil Uzi Vert は、その二ヶ月後にも Future のアルバム『High Off Life』に収録された楽曲『All Bad』にて共演を重ねます。
『Eternal Atake』にて数々の名曲をプロデュースしたコレクティブ Working on Dying 所属の新鋭プロデューサー Brandon Finessin と、数々のビッグネームに新しい音色のトラックを提供し続けるコレクティブ Hyperpop 所属の Outtatown による、いわゆるハイパーポップビートに乗せて、今までの彼らの共演作には見られない雰囲気のラップを披露しました。
初共演から4年の歳月を重ねている二人ですが、意外にも Future 名義のコラボ作品はこれが初めてです。
Future & Lil Uzi Vert – Patek / Over Your Head
最後の共演から五ヶ月の沈黙を経て、ついに二人のコラボテープの存在が明かされました。両者のインスタグラムで同日にトレーラーが公開され、ファンの間ではコラボテープのサプライズリリースが噂されましたが、『Patek』と『Over Your Head』のシングル二曲のみのリリースでした。
『Patek』は先ほどご紹介した hyperpop より Starboy と Brandon Finessin のプロデュース。彼ららしくない落ち着いたトラックに、ワンバースごとで交互にラップする構成の楽曲です。
10月時点でリリースされたシングルのもう一方『Over Your Head』では、Drake と Future の『Life is Good』をプロデュースしたことで一躍有名となった D. Hill によるトラックに、『All Bad』を彷彿とさせる雰囲気の明るいラップをのせたポジティブな楽曲です。
『Pluto x Baby Pluto』のリリース
シングル二曲のみのリリースで彼らのコラボテープは存在しないと噂されていた矢先、2020年の11月12日にまたもや Future と Lil Uzi Vert は同じタイミングに新たなトレーラーをインスタグラムで公開します。
トレーラーの最後にはコラボテープのタイトルである『Pluto x Baby Pluto』とリリース日と思われる日程が映し出され、アルバムを諦めていたファンたちはまたもや盛り上がりを見せ始めました。
そして、トレーラーが公開された翌日である2020年の11月13日には、無事彼らの初のコラボテープ『Pluto x Baby Pluto』がリリースされました。彼らの初共演を仲介した存在とも言える DJ ESCO によるエグゼクティブプロデュースで、16曲入りのアルバムとなりました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は『Pluto x Baby Pluto』のリリースを記念して、彼らのこれまでの共演を時系列順にまとめてみました。(A$AP Ferg による『New Level』でも共演していますが、二人のみの共演作ではないので今回は除外しています。)これを機に彼らのこれまでの共演作も楽しんでみるのはいかがでしょうか。
Written by whoiskosuke