みなさんこんにちは。今回は、ついに待望のニュープロジェクト『RICH YOUNGIN』をリリースした Stunna 4 Vegas について書いていこうと思います。DaBaby によるレコードレーベル である Billion Dollar Baby に所属していたり、Offset や Lil Durk なんかと共演していたりと何かと露出が増えてきた彼ですので、ご存知でないみなさんもこの機会に是非チェックしてみてください。今年は絶対にもっと上がっていきますので、、、
Stunna 4 Vegas って?
Stunna 4 Vegas (スタナ・フォー・ベガス) こと Khalick Antonio Caldwell は ノースカロライナ州のソールズベリー出身のラッパーです。彼のキャリアはかなり浅く、ラップを始めたのは 2017年前半とかなり最近です。
実は彼、この浅く短いキャリアの中で一度だけ改名をしています。現在のステージネームの “Stunna 4 Vegas” という名義を使い始めたのは、 2018年に DaBaby をフィーチャーしたシングル『Animal』をリリースした時からで、それ以前は 「$tunna」 という名義のもとで活動していました。ちなみに各種プラットホームにて「$tunna」と検索していただければ、彼の古い作品を聴くことができます。
極端に音数の少ないビートの上で、一行一行、言葉という名の鋭い釘をハンマーでブッ刺していくような激しいラップ。それが彼の特徴であり、人気が出た理由です。多くの場合この手のスタイルは、荒々しさがポップさに勝ってしまい、メロディアスなスタイルなどに比べて倦厭されがちですが、Stunna の場合は一味違いました。荒々しいスタイルの中に、飛び跳ねるようにバウンシーなフロウを混ぜたり、声色に緩急をつけたりすることで、いい塩梅にG臭とポップさのバランスを取っています。
DaBaby との出会い
Stunna 4 Vegas のキャリアは、DaBaby と出会った時から大きく動き始めます。最近では、DaBaby が満を持してリリースしたアルバム『KIRK』の9曲目に収録されている『REALLY』 にもフィーチャーされていました。実際のところ私自身も DaBaby 経由で彼のことを知りましたし、Stunna のキャリアの中で DaBaby の存在はかなり大きいと考えられます。
彼が初めて DaBaby と共に制作した楽曲は、先ほども言及した「Animal」というシングルです。Stunna と DaBaby は両者ともにノースカロライナ出身であり、共通の知り合いであったDJ B Eazy の仲介によって出会ったそうです。
彼は Interscope Records の他に、DaBaby の主催する Billion Dollar Baby というレーベルに所属しています。何度も言いますが、 彼のキャリアに DaBaby は不可欠であり、その事実については 「Ashley」 という楽曲にて DaBaby 自身もこのようにラップしています。
I got my young n***a rich in six months
俺は6ヶ月の間に兄弟をリッチに変貌させたんだ
Stunna 4 Vegas – Ashley (feat. DaBaby)
Stunna や DaBaby たちの MV は基本こんな感じのコミカルなスタイルで、Reel Goats というビデオチームによるものがほとんどです。Reel Goats によるビデオの特徴は、DaBaby の「BOP」のビデオに見られるような、ダンスを中心としたコミカルなスタイルですが、実はかなりの実力派集団で、DaBaby の「Intro」のビデオなんかを見てもらえれば、その映像技術の高さがお分りいただけると思います。
『Big 4x』
さて、話を今回の主役である Stunna 4 Vegas に戻します。
DaBaby との出会いから、Stunna 4 Vegas を取り巻く環境は劇的に変化していきました。そんな中、彼は2019年の5月に新しいプロジェクトである「Big 4x」をリリースしました。こちらのアルバムですが、DaBaby はもちろん、Lil Durk や Offset、Young Nudy などを客演として迎えつつ、プロデューサー陣はStunna が得意とする音数の少ないビートを得意とする Producer 20 や Jetsonmade などで固められています。
Lil Durk はシカゴ、Offset や Young Nudy はアトランタと、地域の垣根を超えたキャスティングなので、いろんなジャンルのラップが一枚のアルバムに集約されています。本当に聴いていて飽きないし、何よりも展開が予測できないので楽しいです。アルバムから少しだけご紹介いたしますので、まずはこちらをお聴きください。
お聴きいただいたのは「Big 4x」の中でも個人的おすすめ、Lil Durk との楽曲「Durkio」です。「Durkio」とは、Lil Durk のニックネームのようなものなんですが、客演のラッパーの名前をそのままタイトルにしてしまう大胆さが Stunna の性格を物語っています。こちらの楽曲で Stunna はこのようにラップしています。
I feel like Durkio, why? ‘Cause I signed to the streets
Lil Durk になった気分だ。なぜかって?ストリートと契約したからだよI can’t reply to no beef, I’m sendin’ lil’ nigga slang iron for me
Stunna 4 Vegas – Durkio (feat. Lil Durk)
喧嘩なんかに応えるはずがない。自己防衛のために武装した仲間を送り込むぞ
このラインは Lil Durk を客演に迎えたことを最大限に活かした良リリックですね。一行目は「Signed To The Streets」シリーズ (通称STTS) という Lil Durk によるシリーズアルバムの名称と、ストリートと契約を交わす (つまりギャングスタとして生きていく) ことをかけています。普通にラップしても秀逸なラインですが、Lil Durk 本人が客演として参加している楽曲でこれをラップすることによって、説得力が増し増しになっています。
『RICH YOUNGIN』
そしてそして、本日リリースされましたニュープロジェクト『RICH YOUNGIN』についてです。タイトルの「Rich Youngin」とは「金持ちの若者」を意味しており、ここ一年で急激にリッチになった彼にふさわしいタイトルだと思います。
客演は DaBaby に Lil Baby、Blac Youngsta、Offset の4人、通しの時間は30分きっかりとアルバム全体をミニマルに押さえ込んでいる印象を持ちました。
売れる前はゴリゴリだったのに、ある程度売れてしまうと番人ウケを狙ってかG臭が薄くなるラッパーって結構いるんですよね。G好きな私にとって、それはとても悲しいことなんです。ですが、Stunna の場合はそんな私をひとまず安心させてくれました。こちらは、先行シングルとしてリリースされていた Offset との楽曲「Up The Smoke」の一節です。
They wipe his nose if I say so
俺がそうしろって言ったら、仲間たちはあいつを殺すぜIt’s a green light when I say go
Stunna 4 Vegas – Up The Smoke (feat. Offset)
俺が行けっていう時、信号が青に光ってるようにな
「Wipe someone’s nose」というスラングは、我らが Young Thug によって生み出されたギャングスタ・スラングの一つで、「対立するギャングの構成員を殺す」という意味があります。鼻水を拭いてあげる訳じゃありません。このラインで Stunna は彼の仲間が、彼に対して持っている忠誠心を、信号のたとえと絡めて強調しているんです。ギャングへの忠誠心を、ギャングスラングでラップしてくれたので、彼から漂うG臭がまだかなり強い事がわかり安心しました。
アルバムを通して全体的に少しポップになった印象を持ちましたが、8曲目に収録されている『F*CKING UP FREESTYLE』では、依然として Stunna 独特の雰囲気を醸し出しています。こちらの楽曲は 10K.Caash や Splurge などと楽曲を制作している BeatByJeff というプロデューサーによって手がけられています。彼のビートは極端に音数が少なく、極限まで音が削ぎ落とされています。もともと、音数の少ないビートの上で激しいラップをする事が彼のアイデンティティだったので、ある意味原点回帰的な楽曲なのではないでしょうか。
まとめ
色々と書きましたが、伝えたいことはただ一つ。Stunna 4 Vegas は今年どんどん上がってきます。これからの彼の動向が楽しみです。この記事を読んで彼を知った方も、まだまだ遅くはありません。ぜひこちらのオリジナルプレイリストもチェックよろしくお願いします。
↓XXSオリジナルプレイリスト