Pop Smoke の殺害犯5人が逮捕される

今年2月19日に、ロサンゼルス・ハリウッドヒルズに滞在中のラッパー Pop Smoke が何者かによって銃撃を受け殺害された。先日、その事件に関与したとされる5人が LAPD (Los Angeles Police Department) によって逮捕された。

事件発生当時、犯人は4人組であると報じられていたが、TMZ によると、逮捕されたのは3人の成人男性と2人の未成年とのこと。

未だ詳細は不明なため、更なる続報を待ちたい。

Kanye West が今年2月に新型コロナウイルスに感染していたことを明かす

先日、大統領選への出馬意向を表明したことで世界中で話題となった Kanye West が、アメリカの経済誌である Forbes が本日公開したインタビューにて、様々な時事的話題について語った。

インタビューでは主に、大統領選への出馬に関しての詳細やトランプ大統領との現在の関係性、またコロナウイルスについての話題が取り上げられた。

まずは出馬に関してだが、テスラ社の CEO である Elon Musk とその他数人の指導のもと、確実に選挙に当選できるよう、かなり綿密に計画を立てていることを明かした。また彼は自らで政党を結成し、そこから出馬する予定であること、政党の名称は「Birthday Party」とすることも明かした。(「Party」には、「会合」と「政党」の二つの意味があり、誕生日会と政党の名前を掛けている。)

また、ドナルド・トランプ現大統領を支持していたことで話題となった彼だが、今回のインタビューにおいては、「赤い帽子はもう脱いだよ」主張し、現在はトランプ大統領を支持していない旨を明かした。(赤い帽子とは、MAGA ハットと呼ばれる、トランプ支持者が被る赤いキャップのこと。)

また、彼は今年の2月に新型コロナウイルスに感染していたことも明かし、「寒気がしたし、ベッドの中で震えたり、熱いお湯をシャワーで浴びたりもしたよ。どのように感染症を乗り越えるかをレクチャーしてくれるビデオも見ていた。」と語った。

連日、社会を賑わせてばかりの Kanye West であるが、これからの彼の動向にも目が離せない。

Yeezy Company がコロナ渦で2億円以上のローンを借りていたことが発覚

先日『Wash Us in the Blood』をリリースし、大統領選挙に出馬することも正式に発表するなど、話題沸騰中の Kanye West。

『Wash Us in the Blood』

「The Hollywood Reporter」 によると、彼が率いる Yeezy brand が SBA(the Small Business Administration) からパンデミックによるローンを借りていたそうだ。

SBA は およそ二億千万円から五億三千万円強の融資(貸付)を行っていることから、最大で五億円を超える借金をしている可能性も考えられる。先日、 Yeezy は GAP とのコラボを大々的に発表しているだけに、経済面への心配が募るばかりである。

Jetsonmade が Playboi Carti の未発表曲を違法に販売

「Oh Lord, Jetson Made Another One」のプロデューサータグでお馴染みの Jetsonmade。Playboi Carti の『@ MEH』のプロデュースも務め、彼のアップカミングアルバムである『Whole Lotta Red』の制作にも携わっていた Jetson だが、彼にまつわる耳を疑うようなニュースが舞い込んできた。

今回、Jetsonmade がビデオコールを通じて何者かに Playboi Carti の未発表曲を販売しようとしている動画が流出した。

https://twitter.com/bobbalam2/status/1280175800646598656?s=21

また、Playboi Carti との交流があるラッパー Ken Car$on も Jetsonmade に対する批判をツイートしており、今回の騒動の現実味は増すばかりである。

幾度となく楽曲のリークに悩まされている Playboi Carti だが、今回の騒動に関してもまた『Whole Lotta Red』の延期の原因の一つになるかもしれない。

Gucci Mane と契約を結ぶラッパー Foogiano が仲間と共に2人を銃殺

ジョージア州グリーンズボロ出身で、Gucci Mane の新レーベルと契約している Foogiano とその仲間が、サウスカロライナ州グリーンヴィルにて男性1人と女性1人を殺害した。

Foogiano と仲間は、米時間4日にグリーンヴィルにて開催されたイベントにて、彼らのチェーンを奪おうとしてきた何者かに対し銃を乱射。その結果、同イベントのボディガードを務めていた Clarence Johnson さん51歳と、2人の子供の母親である Mykala Bell さん23歳が亡くなり、他8人の負傷者がでた。

この事件について Foogiano は、Instagram にて以下のように釈明した。

この投稿をInstagramで見る



1017 YANO(@foogiano)がシェアした投稿 –

亡くなった女性とその家族に追悼の意を表します。

ただ、俺はやっていないし、自分を責めることはしない。決してだ。でも (Foogiano を責める) 意見も尊重するよ。

彼女は何もしていないのに、命を失った。でも俺が彼女の命を奪ったわけではない。俺は誰も撃ってないんだ。

このように銃殺事件への関与を否定している Foogiano だが、未だ逮捕者も出ておらず、事件の詳細は不明である。

Juice WRLD が遺作であるニューアルバムについての情報を公開

昨年の12月に惜しくも亡くなってしまった、イリノイ州シカゴのラッパー Juice WRLD。そんな彼の遺作となるニューアルバムについての情報がオフィシャルから解禁された。

https://twitter.com/juiceworlddd/status/1280186647447916544?s=21

情報の解禁は2回のツイートに分けて行われ、1回目のツイートではアルバムのタイトルとリリース日が発表された。アルバムのタイトルは『Legends Never Die』であり、リリース日は7月10日であると明かされた。

https://twitter.com/juiceworlddd/status/1280217486797926401?s=21

2回目のツイートでは、Juice WRLD の遺族を含む彼のチームからのメッセージとアルバムカバーが公開された。

Gucci Mane が2700万円相当のダイヤモンドを歯に埋め込む

今週、豪華メンバーを引き連れてニューアルバム『So Icy Summer』をリリースしたばかりの Gucci Mane。

そんな彼が、2700万円相当のダイヤモンドが施されたインプラントをお披露目した。

https://twitter.com/rapallstars/status/1279793899616317443?s=21

歯に直接ダイヤモンドを埋め込むスタイルは Drake や Lil Uzi Vert などの他の大物ラッパー達もお気に入りのようだが、今後はグリルズに変わるヒップホップシーンの流行となるのであろうか。

Gucci と提携し、ブランドラインを創設することも仄かしている Gucci Mane。今後も彼から目が離せない。

Roddy Ricch がリークによるストレスをジョイントで紛らわす

『The Box』の大ヒットにより、一流ラッパーの仲間入りを果たした Roddy Ricch。

客演で参加した Pop Smoke の最新アルバム『Shoot for the Stars, Aim for the Moon』の一曲『The Woo』も絶賛ヒット中の彼だが、Drake との楽曲がリークされたことでも話題となっていた。以下の動画がそのリーク曲である。

https://twitter.com/nyleakerz/status/1279767085535694848?s=21

そんな彼が、インスタグラム上でリークされたことへの不満を露わにすると共に、ジョイントでストレスを紛らわした。

https://www.instagram.com/p/CCRSd-NH1Ke/?igshid=g9l4uy3wivxg

動画内で以下のように発言している。

おい、リークするなんて最低だぜ

リーク曲はヒップホップリスナーの間でかなりの好評を博しているが、果たして Drake との楽曲はリリースされるのだろうか。

Travis Scott が EVISU JEANS とのコラボレーションを示唆

テキサス州ヒューストン出身のラッパー Travis Scott が、日本発祥のデニムブランド EVISU JEANS とのコラボレーションを示唆した。

Travis は、妻 Kylie Jenner の姉である Khloé Kardashian の誕生日パーティにて、Cactus Jack と EVISU JEANS の2つのロゴが入ったデニムパンツを着用。その姿を Khloé が撮影し、瞬く間に世界中で話題となった。

Nike とのコラボレーション・シューズは発売後即完売し、高額で取引される Travis の Cactus Jack コレクション。もし Cactus Jack と EVISU JEANS のコラボレーションが実現すれば、同じく超人気アイテムとなること間違いなしだろう。

差別撤廃を訴え続けるラッパー達 – 今聴くべきプロテストソング4選

米ミネソタ州ミネアポリスで、George Floyd 氏が警察官によって殺害された日から早1か月以上が経過しました。今回の事件、そして後に続く反レイシズムの運動は、主にSNSを通じて史上類を見ないほどの規模で世界に広がり、アフリカ系アメリカ人に対する差別の歴史、現状を多くの人が知ることになりました。世界各国の多くの人たちがアメリカ社会の人種差別の現状をアメリカだけの問題ではなく普遍的な人種差別の問題と受け止め、差別的な制度の変革を今も訴え続けています。

多くのアフリカ系アメリカ人の人たちにとって、音楽は自身が生きている現実を表現するプラットフォームとしての役割を常に果たしてきました。実に、公民権運動以前の時代から、多くのアーティストが音楽を通して人種差別や貧困といったアメリカ社会の不平等について取り上げ、社会、そして個人の意識の改革の必要性を訴えてきました。今回の事件後も、多くのラッパーやR&Bアーティストが反レイシズムの曲をリリースしています。

そこで、今回は人種差別を取り上げている曲を4曲ご紹介させていただきます。全曲最初から最後まで解説したいところですが、今回は重要な部分の解説にとどめておきます。

1. Joey Bada$$ -『Land of the Free』

2016年にリリースされた『ALL-AMERIKKKAN BADA$$』収録の一曲。

3年以上前の作品ですが、アメリカ社会に根付く人種差別の現状をテーマにしたアルバムなので、そこに込められたメッセージは現在の状況と通ずるところがたくさんあります。

The Notorious B.I.G.の名曲『Juicy』と同ネタを使ったトラックに乗せて、この曲はこんな一節で始まります。

Can’t change the world unless we change ourselves

俺たち自身が変わらなければ世界を変えることはできない

Die from the sicknesses if we don’t seek the health

健康を求めなければ病気で死んでしまう

この「病気」は「人種差別やアメリカ社会の腐敗といった問題」、「健康」は「その問題の改善・解決」という様に解釈できるでしょう。

何が問題であるかを考え、その解決を求めるために行動しないと、結局は自分自身もその問題に足を捕らわれ、その犠牲になってしまう。つまり、私たちの目の前にある問題を解決するためには、一人ひとりの自己変革が不可欠であることを訴えています。

Genius

歌詞解説サイトの Genius にて、Joey はこの一節をあらゆる人々に向けて書いたものだと語っており、この曲自体は人種差別、アメリカの腐敗がテーマですが、人種差別だけでなく私たちの生きている社会に転がる様々な問題に対して「あなたならどのように向き合い、どのような行動をとるのか?」と問題提起しています。

この曲が収録された『ALL-AMERIKAN BADA$$』は、Joey が400年に至る黒人差別の歴史と向き合い、それに対する解答として出した非常にシリアスな作品ですが、そこに込められたメッセージは力強く、私たち一人ひとりに向けられた普遍的なメッセージなのではないでしょうか。

またアルバムを通して感じられるのは悲観的な雰囲気ではなく、悲劇的な環境の中においても希望を失わずに戦い続けようとする一人の若者の気高い精神です。

このアルバムが今のアメリカを代表する作品であることはまず間違いないでしょう。

2. Lupe Fiasco –『WAV files

続いては、Kanye West の『Touch the Sky』へのフィーチャリングでも知られるシカゴのリリシスト Lupe Fiasco が2018年にリリースしたアルバム『DROGAS WAVE』に収録されている1曲『WAV files』。

アトランティックレコードを離れた後の彼の作品は、以前ほど爆発的にヒットしているわけではないですが、作品自体のクオリティはむしろ上がっているように思います。

このアルバムは「中間航路(黒人奴隷をアフリカからアメリカ大陸や西インド諸島へと運ぶ大西洋航路のこと)で奴隷船から海に飛び降りた奴隷」をテーマとしたコンセプト・アルバムです。

奴隷船のイメージ図

アメリカの人種差別の歴史について考えるとき、奴隷貿易の歴史は避けて通れません。黒人差別の歴史を木に例えるならば、奴隷貿易は根の部分にあたるといえるでしょう。中間航路や奴隷貿易の悲惨さについては、様々な記録や文献があるので一度調べてみることをおすすめします。

そして、この曲はそのような奴隷の亡霊の視点で書かれており、彼らが実はまだ死んでおらず、他の貿易船を沈めながらアフリカ大陸に帰るべく海中を歩き続けているという、とても斬新で衝撃的な内容が展開されていきます。

My bones is why the beach is white

砂浜が白いのは、そこに俺の骨があるからだ *1

Why the beach is white ’cause they bleached us light

砂浜が白いのは、あいつらが俺たちを明るく染めたからだ *2

So I’m goin’ back home, I took a leap last night

だから俺は帰るべきところへと向かっている。俺は昨夜飛び込んだんだ

So I’m walkin’ on water ’til my feet just like Jesus Christ

この足がイエスキリストみたいになるまで俺は海の上を歩き続ける *3

Wow, walkin’ on water

海の上を

*1・・・海に飛び込み亡くなった奴隷たちの骨が海岸まで流れ着いたことを意味しています。
*2・・・奴隷の所有者たちは奴隷たちからアフリカ独自の宗教や言語などの文化を取り上げ、西洋の文化や価値観を強制しました。
*3・・・イエスキリストは大嵐の中海の上を歩いたとされています。

静かにピアノがループするビートの効果も相まって、本当に海に飛び込んだ奴隷たちが海の底を歩いているイメージが浮かんでくるようです。また、特筆すべきなのは3ヴァース目の構成です。このヴァースで、彼は初めの部分以外ほとんど韻を踏むことなくひたすら実在した奴隷船の名前を挙げていきます。彼ほどのスキルがあれば奴隷貿易について語りながらいくらでもパンチラインを作ることができたはずですが、あえて韻を踏まず、名詞だけを並べていくという手法を彼は意図的に選択しました。

これは、おそらく他のどのラッパーもやっているようでやっていない画期的なアプローチでしょう。そんなアプローチが功を奏して、どれだけ多くの船が奴隷を連れて大西洋を航行していたのかが明確に分かる上に、語り手である奴隷たちの亡霊が奴隷船を沈めながら海中を往来しているイメージが浮かび上がってきます。

この曲の内容はフィクションですが、歴史の中で忘れられた存在である、奴隷船から飛び込み海の藻屑と化した何十人・何百人の名もなき奴隷たちに光を当て、「彼らはただ無残に死んだのではなく、今も故郷に向かって歩いているのだ」と語ることで、全く新しい視点を投げかけるものとなっています。

また、擬人法や比喩など、様々なイメージを想起させる効果がたくさん使われており、聞けば聞くほど深みを感じる非常に文学的な作品でもあります。是非1度リリックを追いながら、その魅力とメッセージに触れてみてはいかがでしょうか。

3. Kenneth Whalum –『Might Not Be OK (feat. Big K.R.I.T.)』

次は、Jay-Z の『4:44』にも参加したテネシー州メンフィスのサックス奏者である Kenneth Whalum が、2016年に Big K.R.I.T. を客演に迎えリリースした1曲『Might Not Be OKです。

この曲は、同年7月にルイジアナ州バトン・ルージュにてアルトン・スターリンというアフリカ系アメリカ人の男性が警官によって射殺された事件を受けてリリースされ、警察によるアフリカ系アメリカ人への暴行を取り上げています。

リリースに至った経緯は Big K.R.I.T. 本人が Genius のインタビューにて詳しく説明しているので是非見てみてください。

この曲は Big K.R.I.T. の淡々とした語り出しからヴァースが始まります。

Mommas been cryin’ and they gon’ keep cryin’

ママたちはずっと泣き続けてる、これからも泣き続けるだろう

Black folk been dyin’ and they gon’ keep dyin’

黒人たちは死に続けてる、これからも死に続けるだろう

Police been firin’ and they gon’ keep firin’

警察は銃をぶっぱなし続けてる、これからもそれを続けるだろう

The government been lyin’ and they gon’ keep lyin’

政府は嘘をつき続けている、これからも嘘をつき続けるだろう

Kenneth Whalum –『Might Not Be OK (feat. Big K.R.I.T.)』

ここで、彼は黒人が実際に今どのような状況に生きているのかを端的に表現しています。

黒人たちが警官の手によって命を失うたび、母親は自分の子どもの死を嘆き悲しむが、司法は事件の事実に直面せず、殺した警官は正しく裁かれることはない。これに対して抗議の声を上げ、正義を訴えても、また同じように黒人が警官の手によって殺され、不起訴処分で終わる、という繰り返し。

今日に至るまでたくさんの人が、幾度となく黒人に対する不当な逮捕や暴行に反対し、殺人に関わった警官を裁くよう訴えてきましたが、警官による黒人への暴行が後を絶つことはなく、そのような警官の処遇は起訴どころか無罪放免で済まされてきました。

そのような変わらない差別の現状に対して、ようやく当事者の黒人たちだけでなく、他の人たちも共に声を上げよう、社会全体としてこの問題と向き合おうという動きが高まり、今回のような国際的な抗議活動が行われる結果になりましたが、「黒人への差別をやめろ」というメッセージは、大昔から訴えられてきました。

何年、何十年、何百年と続く差別の中で、状況を変えたくてもなかなか変わらない、そんなどうしようもない現実に対する怒りや悔しさといった悲痛な感情が、曲が進むにつれて感情的になっていく彼のラップから、ひしひしと伝わってきます。

4. J. Cole –『Be Free

2014年、ミズーリ州セントルイス群ファーガソンにて Michael Brown という18歳の黒人の青年が警官によって殺された事件に対するアンサーソングとしてリリースされた1曲。

この事件でも彼の殺害に関わった警官は不起訴処分とされ、不当な措置であるとして大規模な抗議運動が行われました。この事件からもうすぐ6年が経ちますが、未だ解決したとは言えません。

J. Cole は今世代最高のラッパーの名声を勝ち取っており、成功者であることは疑いようがないですが、この曲ではそのようなブランドは一切関係なく、アメリカという地に生きる一人の黒人男性としてこの事件に対する自身の心情をさらけ出しています。

All we wanna do is take the chains off

俺たちはただこの鎖を外したいだけなんだ *1

All we wanna do is break the chains off

俺たちはこの鎖を断ち切りたいだけなんだ

All we wanna do is be free

俺たちはただ自由になりたいだけなんだ

All we wanna do is be free

俺たちはただ解放されたいだけなんだ

*1・・・鎖は奴隷の動きを制限するために使われていました。

非常にシンプルでありながら力強さを感じるフックには、奴隷制時代から現代にいたるまで一貫して訴えられてきた黒人たちのメッセージの本質が凝縮されています。

「自由に生きたい、俺たちが願っているのはただそれだけなんだ」という言葉は、どれだけ長い間、アメリカ社会が彼らの声を理解せず、無視し続けてきたかということを示しています。

Can you tell me why

なあ教えてくれ、何でなんだ

Every time I step outside I see my niggas die

俺が外に出るたびに誰かが死ぬのを見なきゃいけないのは何でなんだ

I’m lettin’ you know

お前に言っておく

That there ain’t no gun they make that can kill my soul

どんな銃も俺の魂を殺すことはできない

Oh no

何てことだ

『Middle Child』などの曲での自信に満ちた堂々とした姿とは違い、歌いながらラップする彼の姿は悲しみや悔しさに打ちひしがれていて、いまにも崩れ落ちそうです。

そのような状況でもなお、彼は「銃では俺の魂は殺せない」と叫びます。どれだけ警察が、そして社会が黒人の命を奪おうとしても、その精神や存在まで否定することは不可能なのだということを宣言するこの言葉は、彼の悲痛な叫びの中でもひときわ鋭く響いてきます。この曲は彼の最高傑作の1つであり、アメリカに生きる黒人の痛みや悲しみをこれ以上ないほど鮮明に描写した作品です。

おわりに

今回は黒人差別をテーマとしたものの中でも特にストレートに響く楽曲をご紹介させていただきました。ヒットチャートに載ることは少なくとも、黒人差別や社会の腐敗をテーマとしたラップ・ソングは他にもたくさんあります。今回ご紹介できなかった楽曲はプレイリストにまとめておりますので、この機会に是非聴いてみてはいかがでしょうか。

Hip Hop の歴史は、黒人たちが生きてきた歴史ととても深い関係にあります。昨今、George Floyd 氏の殺害事件をきっかけに史上最大規模の反人種差別の動きが世界へと広がっており、Black Lives Matter の運動、そして人種差別についての意識啓発の動きが高まっている中、彼らの音楽から学ばされること、感化されることは沢山あるのではないでしょうか。

https://music.apple.com/jp/playlist/protest-songs/pl.u-kv9lq7js7VY5Ga1?l=en

Nozomu Yoshida